研究概要 |
■ 研究概要
◆研究課題
18世紀後半のドイツにおける修辞学の変遷(「ラオコオン論争」を中心に)
◆研究概要
本年度は、前年度までの研究を発展させ、成果をドイツ語の論文に仕上げた。論文で主に取り上げたのは、G. E.レッシングの『ラオコオン』とJ. G. ヘルダーの『第一批評の森』である。ヘルダーの『批評の森』は、これまで若き日の失敗作として過小評価されてきた。その原因は、出版直後に受けた文献学者クロッツからの批判にある。クロッツは論拠の欠如やギリシア文学の誤訳を指摘し、ヘルダーの批評集を「素人の考察」とみなしたのだ。しかし、『第一批評の森』の手稿や友人宛の書簡を併せて読むと、実はヘルダーが英仏の随筆を真似たとわかる。他者の意見を集めるような読書を批判し、読者の考える力を引き出そうとしたのだ。こうした取り組みが裏付けるのは、18世紀後半のドイツにおける文芸的公共圏の広がりである。
論文の発表
なお、ドイツ語の論文は、「国際ヘルダー学会(Internationale Herder-Gesellschaft)」の機関紙『ヘルダー年鑑(Herder Jahrbuch / Herder Yearbook)』に発表した。同紙には、ドイツ・アメリカ・カナダ・フィンランドを初めとした各国の研究者が論文を発表しているため、論文を執筆する際も欧米の最新研究を踏まえることが強く求められる。我が国のヘルダー研究は「日本ヘルダー学会」を中心に進められてきたこともあり、日本人の研究者が『ヘルダー年鑑』に論文を投稿したケースはほとんどない(「世界のヘルダー受容」といったテーマを除く)。従って、来年度以降もこうした研究発表を大切にし、ヘルダー研究の裾野を広げたいと考えている。 |
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業績 |
■ 学会発表
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■ 著書・論文歴
1. |
2024/09 |
論文 |
シューベルト「ます」をピアノ五重奏の原曲の歌詞から読み解く〜隠された4節目の秘密 WebマガジンONTOMO |
2. |
2024/03 |
論文 |
『古き批評の森』におけるヴィンケルマン受容の考察:ヘルダーの歴史哲学の源泉について 京都産業大学論集 人文科学系列 (57),33-50頁 (単著) |
3. |
2024/03 |
論文 |
『古き批評の森』におけるヴィンケルマン受容の考察:ヘルダーの歴史哲学の源泉について 京都産業大学論集 人文科学系列 57,33-50頁 |
4. |
2024/03 |
論文 |
ヘルダー『第一批評の森』の考察 ーレッシング『ラオコオン』との比較を手がかりにしてー ドイツ文学論攷 63,5-28頁 (単著) |
5. |
2024/03 |
論文 |
ヘルダー『第一批評の森』の考察 ーレッシング『ラオコオン』との比較を手がかりにしてー 阪神ドイツ文学会『ドイツ文学論攷』 63,5-28頁 |
6. |
2023/11 |
論文 |
歌詞から迫る第九(1)「第九」の歌詞は危機と友情から生まれた? 「歓喜に寄せて」執筆の背景 WebマガジンONTOMO |
7. |
2023/11 |
論文 |
歌詞から迫る第九(2):「第九」の歌詞は失敗作だった? シラーの「歓喜に寄せて」自己評価 WebマガジンONTOMO |
8. |
2023/11 |
論文 |
歌詞から迫る第九(3): ドイツの歴史と「第九」〜現代まで受け継がれるシラーの想いとは? WebマガジンONTOMO |
9. |
2023/03 |
論文 |
Johann Gottfried Herders Einladung zu einem Gedankenspaziergang. Die Laokoon-Rezeption Herders im Ersten Wäldchen Herder Jahrbuch 16(1),49-65頁 (単著) |
10. |
2023/03 |
論文 |
シューベルトの歌曲《野ばら》の歌詞に秘められたゲーテの身勝手な恋 WebマガジンONTOMO |
11. |
2022/05 |
著書 |
Von der Kunstbetrachtung zur Praxis der Rhetorik bei Winkelmann, Lessing und Herder. Studie zu Schriften im Kontext der Laokoon-Debatte (単著) |
12. |
2022/03 |
論文 |
Experiment zu einer ästhetischen Umwertung der Rhetorik. Eine Untersuchung über Winckelmanns Beschreibung des Torso im Belvedere zu Rom Neuebeiträge zur Germanistik 20(1),145-164頁 (単著) |
13. |
2022/03 |
論文 |
シューベルトの《魔王》は実は「妖精の一撃」だった!?〜ゲーテの歌詞の原典からたどる意味 Webマガジン ONTOMO (単著) |
14. |
2021/12 |
論文 |
『批評の森』再考: ヘルダーによる理性的論述への反抗を中心に 上智大学ドイツ文学論集 (58),3-21頁 (単著) |
15. |
2021/12 |
論文 |
ドイツ鉄道の混乱とドイツ人の諦念:フルダ駅のICEで過ごした夜をふまえて STUFE (40),63-65頁 (単著) |
16. |
2018/12 |
その他 |
カッセルに広がる〈小さな世界〉―メルヒェンの語り手の足跡から見えるもの― STUFE (37),27-31頁 |
17. |
2016/12 |
論文 |
詩的認識へ向かう言葉―ヘルダー『言語起源論』の考察― STUFE (35),1-16頁 (単著) |
18. |
2015/12 |
論文 |
感覚による芸術論の転回―ヘルダー『彫塑』論― STUFE (34),73-90頁 (単著) |
19. |
2013/12 |
論文 |
悲劇的牧歌ーゲーテ『ラオコオン論』 STUFE 67-76頁 (単著) |
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経歴 |
■ 学歴
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■ 職歴
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■ 所属学会
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その他 |
■ 受賞学術賞
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■ 現在の専門分野
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■ 科研費研究者番号
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