研究キーワード:非平衡物理学、ソフトマター、分子動力学法
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    (最終更新日:1000-01-01 00:00:00)
  サイトウ クニヤス   Kuniyasu Saitoh
  齊藤 国靖
   所属   京都産業大学  理学部 物理科学科
   職種   教授
研究概要
■ 研究概要
◆研究課題
粒子系の非平衡物理学

◆研究概要
学部で勉強する熱力学や統計力学は主に物質の平衡状態を扱います。 ところが、自然の中の物質は時間的に変化したり、空間的に非一様で流れが生じたりと、平衡状態ではなく非平衡状態であることがほとんどです。 これら物質の非平衡状態を扱うのが非平衡物理学であり、その対象は広範で、当研究室の大きなテーマになります。
非平衡物理学の対象は多岐にわたりますが、当研究室では特に古典的な粒子系を扱います。 例えば、泡、エマルジョン、粉体など、個々の粒子がエネルギーを保存しない「散逸粒子系」のモデルについて詳しく調べており、理論と数値計算の両面から研究に取り組んでいます。 散逸粒子系は巨視的な粒子の集まりなので、温度の影響を受けず、粘性力や摩擦力によってエネルギーを散逸するという特徴があります。 従って、外力が無ければ静止状態に陥りますが、外力を加え続けると、外部からのエネルギー注入と内部のエネルギー散逸がバランスした非平衡定常状態に陥ります。 また、密度に応じて気相、液相、固相に区別され、特に液相からアモルファス固体への変化はジャミング転移と呼ばれ、重要な研究テーマの一つです。 その他、散逸粒子系の輸送現象やメソスケールの物理といったテーマもあり、最近は個々の粒子がエネルギーを生成するアクティブマターなど、新しい研究テーマにも挑戦しています。
当研究室における研究の特長は散逸粒子系の動きをコンピューターで再現し、レオロジーやメカニクスなど力学特性を理論的に予測する点にあります。粉体など散逸粒子系を扱う現場において、これら再現と予測は重要な課題です。例えば、製薬や食品加工など粉体を扱う様々な工学プロセスを分子動力学計算で再現すれば、試験に必要な機材や試料にかかるコストを大幅に削減できるかもしれません。また、理論的な予測に基づいた全く新しい商品開発の可能性もあります。但し、分子動力学計算や非平衡統計力学はあくまで理論的な研究手法であり、実際にある多様な物理的要因の全てを考慮している訳ではありません。従って、研究成果を実用に移すには、実物を使った実験や試験が必要不可欠であり、これを可能にする大学や企業の研究機関との共同研究へのニーズが非常に高いと言えます。
業績
■ 著書・論文歴
1. 2023/05 論文  Sound characteristics of disordered granular disks: effects of contact damping Frontiers in Physics 11  
2. 2023/05 論文  Theory of rigidity and numerical analysis of density of states of two-dimensional amorphous solids with dispersed frictional grains in the linear response regime Physical Review E 107(5)  
3. 2023/03 論文  Eigenvalue analysis of stress-strain curve of two-dimensional amorphous solids of dispersed frictional grains with finite shear strain Physical Review E 107(3)  
4. 2023/03 論文  Eigenvalue analysis of stress-strain curve of two-dimensional amorphous solids of dispersed frictional grains with finite shear strain Physical Review E 107(3)  
5. 2023 論文  Scaling relationships between viscosity and diffusivity in shear-thickening suspensions Soft Matter   
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■ 画像登録
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経歴
■ 学歴
1.
(学位取得)
京都大学 博士(理学)
2.
(学位取得)
京都大学 博士(理学)
3. 2008/04~2011/03 京都大学 理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻 博士課程修了 博士(理学)
4. 2004/04~2006/03 京都大学 理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻 修士課程修了 修士(理学)
5. 2000/04~2004/03 京都大学 理学部 物理学・宇宙物理学専攻 卒業 学士(理学)
■ 職歴
1. 京都産業大学 理学部 物理科学科
2. 京都産業大学 理学部 物理科学科
3. 2024/04~ 京都産業大学 理学部 物理科学科 教授
4. 2020/04~2024/03 京都産業大学 理学部 物理科学科 准教授
5. 2018/01~2020/03 東北大学 数理科学連携研究センター 准教授
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■ 所属学会
1. 2016/01~ 分子シミュレーション学会
2. 2016/01~ 日本物理学会
■ researchmap研究者コード
B000295191
その他
■ 研究課題・受託研究・科研費
1. 2022/04~2027/03  擬フロッピーモードで解き明かす粒子系の摩擦・変形・形状とレオロジーの関係 基盤研究(C) 
2. 2022/04~2027/03  擬フロッピーモードで解き明かす粒子系の摩擦・変形・形状とレオロジーの関係 基盤研究(C) 
3. 2022/04~2023/03  粉体の輸送現象とレオロジー特性における粘着性と多分散性の役割 その他の補助金・助成金 
4. 2021/04~2024/03  駆動散逸系の非平衡現象に関する理論的研究 基盤研究(B) 
5. 2021/04~2023/03  多分散粒子系の階層構造に起因する特異な粘弾性と弾塑性および新しい数理物理学の展開 その他の補助金・助成金 
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■ ホームページ
   http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~sithuny/
   http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~sithuny/
■ メールアドレス
  kyoin_mail
■ 受賞学術賞
1. 2017 一般社団法人 日本物理学会 第11回(2017年)日本物理学会若手奨励賞
■ 現在の専門分野
数理物理、物性基礎 (キーワード:非平衡物理学、ソフトマター、分子動力学法) 
■ 担当経験のある科目
1. 数理統計学(東北大学)
2. 解析学A(東北大学)
■ researchmapその他
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