研究概要 |
■ 研究概要
◆研究課題
中世ヨーロッパにおける大学学位の社会的意義についての研究
◆研究概要
今日世界中に拡大している大学制度(ユニヴァーシティ)は、13世紀ヨーロッパにおいて神学や法学の専門教育を生業とする教師と、彼らの元に集まった学生たちが自ら法的地位と権利を守るため結成した同職組合(ユニヴェルシタス:ラテン語)に由来します。学位や卒業資格は、元々こうした組合の一員として授業料を取って教鞭を執るための一種の営業資格、すなわち教授資格を意味していました。しかし、大学で学ばれる高度な知識はやがて国家行政、法律実務などにおいても必要とされ、その結果、教授資格=学位は社会的上昇(あるいはすでに獲得している社会的地位の保持と補強)の有力な手段となっていきます。 このように、中世ヨーロッパがいわば「学歴社会」化していく歴史的過程を制度、社会、文化、心性などの視点から多角的に解明することが本研究の目的です。その意義は、ひとり古い時代のヨーロッパ史の知られざる一側面を明らかにしていく、という点にとどまりません。すなわち、日本を含めた現代世界において大学や専門知と社会の関係が改めて問い直されるなか、こうした巨視的な議論に具体的かつ有益な考察材料を提供することをも企図しています。
もちろん、このような巨大なテーマに取り組むには焦点を絞った研究対象を設定することが不可欠です。本研究では、大学とほぼ同時期に誕生し、旺盛な説教行脚を通じてヨーロッパの人々の信仰、文化、考え方に重大な痕跡を残した「托鉢修道会」に注目します。キリスト教の教義と道徳を民衆に普及するための辻説法を活動の柱とした彼らは、そのため教義についての深い知識を必要とし、大学でも学びました。その結果修道士にも学位保持者が増えていきますが、このことは彼らの組織、行動、思想に甚大な影響を及ぼしました。まさに托鉢修道会は、中世の学歴社会化を観察する格好の観測点と言えるのです。本研究は、修道会と学位の関係を、当時の公用語であるラテン語で書かれた文書(多くは未だ羊皮紙のままヨーロッパ各地の文書館に眠っています)を解読、分析することで多面的に描き出します。 |
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業績 |
■ 学会発表
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■ 著書・論文歴
1. |
2024/03 |
その他 |
修道制と中世書物 : メディアの比較宗教史に向けて (共著) |
2. |
2023/12 |
その他 |
[新刊紹介] Joël Chandelier & Aurélian Robert (ed.), Savoirs profanes dans les ordres mendiants en Italie (XIIIe - XVe siècle), Rome, École Française de Rome, 2023 西洋中世研究 (15),171-172頁 |
3. |
2022/11 |
その他 |
Du frère au maître. Les Dominicains de France face au système universitaire des grades au Moyen Âge (単著) |
4. |
2022/02 |
その他 |
中世ヨーロッパの政治的結合体 : 統治の諸相と比較 (共著) |
5. |
2021/08 |
論文 |
中世ドミニコ会における修学のための移動 (小特集 人の移動と学知の形成をめぐる歴史学) 歴史学研究 = Journal of historical studies (1012),31-40頁 |
6. |
2021/07/30 |
論文 |
研究経過報告「中世の托鉢修道会における大学学位の意義」 京都産業大学総合学術研究所所報 (16),139-145頁 |
7. |
2021/05 |
その他 |
「2020年の歴史学会:回顧と展望、中世ー西欧・南欧」 史学雑誌 130(5),316-321頁 |
8. |
2021/04 |
その他 |
中世ヨーロッパ : ファクトとフィクション (共著) |
9. |
2020/07 |
著書 |
『俠の歴史 : 西洋編上+中東編』 202-217頁頁 (共著) |
10. |
2020/05 |
著書 |
フランスの歴史を知るための50章 83-89頁頁 (共著) |
11. |
2019/05 |
その他 |
佐藤彰一『禁欲のヨーロッパ』ほか : 西洋文化の基層としての修道院 (特集 新書から広がる歴史学) 歴史評論 = Historical journal (829),28-34頁 |
12. |
2019/04 |
論文 |
中世末期におけるドミニコ会士の学位取得 : アヴィニョン大学神学部を中心に 史学雑誌 128(4),432-456頁 |
13. |
2018 |
その他 |
[Chronique des thèses] Les dominicains français face au système universitaire des grades à la fin du Moyen Âge Revue Mabillon Nouvelle Série 29((tome 90)),297-299頁 |
14. |
2016/11 |
その他 |
恐怖の叫びと嫌悪の叫び : 盗人に向けられる「アロ」 中世末期フランスにおける叫びと犯罪 (音と声の歴史学) 思想 (1111),27-41頁 |
15. |
2016/10 |
論文 |
Université et éducation dans l'ordre dominicain à la fin du Moyen Âge: Le collège de Notre-Dame de la Pitié d'Avignon Annales du Midi 128(294),247-267頁 |
16. |
2013/12 |
論文 |
中世末期におけるドミニコ会教育と大学―アヴィニョン『嘆きの聖母』学寮の事例から 西洋中世研究 5,123-138頁 |
17. |
2010/12/20 |
その他 |
W・ブラウンフェルス著, 渡辺鴻訳, 『[図説]西欧の修道院建築』, 八坂書房, 二〇〇九・九刊, A5, 四〇〇頁, 四八〇〇円 史學雜誌 119(12),2048-2049頁 |
18. |
2010/07/30 |
その他 |
アッシジの聖フランチェスコ (共著) |
19. |
2010/01/20 |
その他 |
一四世紀後半のトゥルーズ大学神学部における托鉢修道会と地元聖職者(研究発表,西洋史部会,第一〇七回史学会大会報告) 史學雜誌 119(1),118-119頁 |
20. |
2010 |
その他 |
中世後期南フランスにおける大学神学部と托鉢修道会--トゥルーズとモンペリエの事例から 地中海学研究 33,25-46頁 |
21. |
2009/01/20 |
その他 |
戸田聡著, 『キリスト教修道制の成立』, 創文社, 二〇〇八・三刊, A5, 二八五頁, 五五〇〇円 史學雜誌 118(1),147-148頁 |
22. |
2009 |
その他 |
若手による「西洋中世学会若手セミナー」報告記 西洋中世研究 (1),170-173頁 |
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経歴 |
■ 学歴
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■ 職歴
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■ 所属学会
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その他 |
■ 社会における活動
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■ 研究課題・受託研究・科研費
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■ ホームページ
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■ 現在の専門分野
ヨーロッパ中世史, 中世フランス史, 中世フランス史 (キーワード:中世の大学と托鉢修道会、教育史、フランス史、教会史、歴史学、中世史、西洋史、フランス、ドミニコ会、托鉢修道会、大学史、教育史、フランス史、教会史、歴史学、中世史、西洋史、フランス、ドミニコ会、托鉢修道会、大学史)
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■ 担当経験のある科目
1. |
フランス文化講読(京都産業大学) |
2. |
フランス語(神奈川県立横浜国際高校) |
3. |
フランス語エキスパート発展(京都産業大学) |
4. |
ヨーロッパ文化の基礎(京都産業大学) |
5. |
ヨーロッパ文化論(共立女子大学) |
6. |
入門セミナー(京都産業大学) |
7. |
歴史文化演習(京都産業大学) |
8. |
歴史文化資料総論(京都産業大学) |
9. |
西洋史概説(京都産業大学) |
10. |
西洋史演習(立教大学) |
11. |
西洋史研究(京都産業大学) |
12. |
西洋史資料論(京都産業大学) |
13. |
西洋史(2)(同志社大学) |
14. |
西洋史(2)(同志社大学) |
15. |
講読セミナー(京都産業大学) |
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