研究キーワード:第二言語の音声知覚・産出
    (最終更新日:1000-01-01 00:00:00)
  タキグチ イズミ   Izumi TAKIGUCHI
  瀧口 いずみ
   所属   京都産業大学  外国語学部 英語学科
   職種   准教授
研究概要
■ 研究概要
第二言語における音声の知覚・産出に関心があり、現在は日本語学習者を対象に母音長対立(短母音vs.長母音、角vs.華道)の知覚の研究を行っています。

学習者の母語は第二言語の音韻対立の知覚に影響し(Pallier et al., 1997)、母語話者と学習者とでは知覚の手がかりが異なる(Lippus et al., 2009)との指摘があります。しかし、母語がどのように第二言語の知覚に影響するか、学習者が母語の音韻対立の知覚に使う手がかりと第二言語の音韻対立の知覚に使う手がかりがどのように関連するかは未解明です。これは、これまでの研究の多くが、ある音韻対立を持つ言語の母語話者とそれを持たない1つの言語を母語とする学習者を対象に、母語話者が主な手がかりとする音響情報を学習者がどのように使うかを分析するにとどまっていることに一因があると考えられます。

日本語は母音長対立とアクセント型対立(雨vs.飴)を持ち、主な手がかりはそれぞれ母音の持続時間(藤崎・杉藤, 1977)とピッチ(Beckman, 1986)です。知覚における母音の持続時間やピッチの役割は、日本語に見られる様な語の弁別等の極めて言語的なものから、感情等の非言語的なものまで様々で、学習者は母語とは異なる役割を持つこれらの音響情報を適切に使えるようになる必要があります。本研究は、日本語学習者対象の母音長対立の知覚実験から、母語において用いる手がかりと日本語の母音長対立の知覚に用いる手がかりとの関係を明らかにし、母語での音響情報の役割と第二言語で知覚の手がかりとする音響情報の選択との関係の一般化を試みています。

第二言語の音声知覚・産出の研究には、言語教育的な意義があります。学習者が第二言語の知覚・産出で行っていることが明らかになれば、音声教育に重要な示唆を与えられるからです。
また、日本語を目標言語とすることで、これまで第二言語の音声知覚・産出研究の中心である英語の知覚・産出について言われていることが、英語以外の言語へも応用可能かどうかを検証できるとも考えています。
業績
■ 学会発表
1. 2017/08/21 Effects of Pitch Fall and L1 on Vowel Length Identification in L2 Japanese(The 18th Annual Conference of the International Speech Communication Association, INTERSPEECH 2017)
2. 2016/08/25 Effects of L1 and Pitch Patterns on Perception of Phonological Vowel Length in L2 Japanese(EuroSLA 2016)
3. 2015/08/12 Production of Japanese geminates by native English speakers: Durational accuracy and native speaker evaluation(The 18th International Congress on Phonetic Sciences (ICPhS 2015) ICPhS Satellite Meeting, Workshop on Geminate Consonants across the World)
4. 2015/08/11 The role of vowel duration cue in L1: Effects on L2 learners' identification of phonological vowel length in Japanese(The 18th International Congress on Phonetic Sciences (ICPhS 2015))
5. 2015/02/01 日本語学習者の母音長対立知覚における母語・発話速度・ピッチ型の影響(国立国語研究所理論・構造研究系 プロジェクト研究成果合同発表会レキシコンフェスタ3)
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■ 著書・論文歴
1. 2019 論文  Duration and pitch cues in L1: Perceptual effect on phonological vowel length for learners of Japanese (Lecture Abstract) 音韻研究 pp.149-152 (単著) 
2. 2017/08 論文  Effects of Pitch Fall and L1 on Vowel Length Identification in L2 Japanese Proceedings of the 18th Annual Conference of the International Speech Communication Association pp.369-373 (単著) Link
3. 2017/03 論文  Effects of Pitch Height on L2 Learners' Identification of Japanese Phonological Vowel Length 音韻研究の新展開:窪薗晴夫教授還暦記念論文集 pp.295-311 (単著) 
4. 2015/11 その他  最新英語学・言語学用語辞典    
5. 2015/08 論文  The role of vowel duration cue in L1: Effects on L2 learners' identification of phonological vowel length in Japanese Proceedings of the 18th International Congress on Phonetic Sciences  (単著) Link
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経歴
■ 学歴
1. 上智大学 外国語学研究科 博士課程修了 博士号
■ 職歴
1. 2015/04~2018/03 文京学院大学 外国語学部 助教
2. 2014/05~2015/03 大学共同利用機関法人人間文化研究機構 国立国語研究所 理論・構造研究系 プロジェクト非常勤研究員(~6月) PDフェロー(7月~)
3. 2013/04~2015/03 杉野学園 杉野服飾大学 非常勤講師
4. 2010/04~2013/03 上智大学 特別研究員(DC1)
■ 所属学会
1. 2014/11~ 日本言語学会
2. 2014/08~ 日本音韻論学会
3. 2010/07~ 日本音声学会
4. 2019/04~2022/03 ∟ 国際交流委員会委員
その他
■ 研究課題・受託研究・科研費
1. 2016/04~2020/03  日本語母音長対立の知覚における学習者の手がかりの選択と母語の関係の実験研究 若手研究(B) 
2. 2010/04~2013/03  中間言語の音韻論 特別研究員奨励費 
■ 講師・講演
1. 2018/08/27 Duration and pitch cues in L1: Perceptual effect on phonological vowel length for learners of Japanese
2. 2017/02/17 Japanese Culture: Education, Japanese-style clothing, festivals and language(Kasetsart University, Bangkok, Thailand)
3. 2015/04/03 (i) 第二言語学習者による日本語母音長対立知覚-母語・発話速度・ピッチ型の影響 (ii)  学位論文作成~研究職-研究・学振特別研究員・就職活動
■ 現在の専門分野
言語学 (キーワード:第二言語の音声知覚・産出)