研究概要 |
■ 研究概要
◆研究課題
産業社会の高度化と高等教育に関する研究
◆研究概要
これまで、教育政策の所轄官庁は文部科学省であり、初等中等教育、高等教育を問わず、文部科学省が審議会行政というスタイルを媒介項にしつつ、事実上、政策形成や制度構築の役割を果たしてきた。ことに高等教育政策については、かつては大学審議会(当時は文部省)、現在は中央教育審議会大学分科会に集う「専門家」が、文部科学省と相対的には独立した構えを示しつつも、実際には教育政策形成集団として、文部科学省事務局と一体的な作業プロセスでその役割を果たしてきた。安倍政権に入ってこの様相は一変する。内閣直属の教育再生実行会議、自民党の教育再生実行本部が、それぞれ、耳目を引くトピックを中心に次々と矢継ぎ早に報告書を提起し、政策マターを推進してきた。さながら中教審はその方針を現場に即した具体像に仕上げる機能にシフトしてしまったのである。同時に「専門家」の多くは、産業界出身者など、実務家としての経験ある人たちへ置き換わりが進められるようにもなった。
一方、科学技術を核とする大学の研究機能については総合科学技術会議(第6期からは総合科学技術・イノベーション会議)が、高等教育の教育研究機能を梃子にした科学技術の革新やイノベーションをテーマに、閣議決定に裏付けられる報告書を6次にわたって提起しており、大きなプレゼンスを発揮している。また、最近では、経団連が、社会構造の変容、産業社会のフェーズ転換をふまえて、society5.0に求められる能力像を検討し、それを踏まえて就職と採用の在り方の抜本的転換を迫る報告書や大学教育の在り方に関する報告書を出している。
高等教育セクターをめぐる、政策形成アクターは、文部科学省、官邸、内閣府科学技術イノベーション会議、経団連といったように多様化してきている。また、多様化しているだけではなく、テクノロジーの進化の驚くべき加速化と経済社会における国際競争の激化・複雑化を受けて、高等教育への要求が直接化・即自化する傾向が顕著である。本研究においては、これらの多様なアクターを、カバーする政策の範囲、政策への関与スタイル、本気度といった観点からの分析、さらにはテクノロジー進化を踏まえたフェイズ転換による、政策のイシュードリブン化といった視点を交えて検討する。そのことによって、多元化・複雑化した高等教育政策形成のプロセスを明らかにし、現場からのアプローチの可能性を考察する。 |
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業績 |
■ 著書・論文歴
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経歴 |
■ 学内役職・委員
1. |
2017/09/01~2025/03/31 |
京都産業大学 初年次教育センター長 |
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■ researchmap研究者コード
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