研究概要 |
■ 研究概要
ベトナムは東南アジアの国であると同時に、日本と文化的にもつながりの深い東アジアの一員でもある。家族制度や宗教・道徳観などの面で日本と類似する点も多い。他方、人と人とのつながり方や社会規範の面でのさまざまな違いも目立つ。また、ベトナム戦争の経験や社会主義化の経験など、日本とは違う「近代」の歴史も経験している。このようなベトナム社会を現地の視点に立って理解することは、日本社会の文化的・社会的な特徴を理解するうえでの比較研究の対象として興味深い事例を提供してくれる。
ベトナム社会を深く理解しようとするとき、近年ベトナムにおいても喫緊の課題となりつつある高齢者ケアの問題に注目すると、さまざまなことが見えてくる。ベトナム政府は高齢者ケア・レジーム(ケアの体制)をどのように構想しているのか、その構想が実際のケアの現場においてケアの主体(家族、共同体、介護施設、宗教団体など)の活動とどのように結びつき、それらの役割にどのような変化をもたらしているのか。私はこれらの問題を文化人類学的な手法に基づき現地の人々の視点から研究している。具体的な調査内容としては、高齢者ケアにたずさわる人々(家族のメンバーや福祉施設の職員など)や高齢者本人にインタビューをおこなったり、コミュニティ・ケアの現場の参与観察をおこなったりしている。
こういったテーマについて、ベトナム地域研究、看護・介護学、法学などの専門家、あるいはベトナム国内の専門家や実務家と協働して総合的な調査を行っている。それにより、ベトナムにおける高齢者ケアの潜在力と弱点を見出し、実践的課題解決への提言をおこなうことを目指している。さらには、ベトナムの状況を理解し、日本社会に向けて発信することで、日本社会のあり方の特徴をより深く理解することを目指している。 |
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業績 |
■ 学会発表
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■ 著書・論文歴
1. |
2023/02 |
論文 |
岩井美佐紀(編)『現代ベトナムを知るための63章』(第3版) (共著) |
2. |
2022/12 |
論文 |
小浜正子・落合恵美子 (編)『東アジアは「儒教社会」か—アジア家族の変容』 (共著) |
3. |
2022/03 |
著書 |
リーディングス<アジアの家族と親密圏>全3巻 (共著) |
4. |
2022/03 |
論文 |
森本一彦、平井晶子、落合恵美子(共編)『家族イデオロギー』 (共著) |
5. |
2022/03 |
論文 |
森本一彦、平井晶子、落合恵美子(共編)『家族イデオロギー』 (共著) |
6. |
2022/03 |
論文 |
栗本英世、村橋勲、伊東未来、中川理(編著)『かかわりあいの人類学』 (共著) |
7. |
2022/03 |
論文 |
藤井真一・川口博子・村橋勲(共編)『サバンナの彼方(栗本英世教授退職記念文集)』 (共著) |
8. |
2021/05 |
論文 |
書評・新刊書紹介―瀬戸裕之・河野泰之編著『東南アジア大陸部の戦争と地域住民の生存戦略―避難民・女性・少数民族・投降者からの視点』 東南アジア 歴史と文化 50,181-185頁 (単著) |
9. |
2021/03 |
論文 |
ベトナム・ハティン省における高齢者をめぐるケア・レジームの配置―村落地域の高齢者世帯と社会養護施設を中心に 38,97-127頁 (共著) |
10. |
2020/02 |
論文 |
Khư vực học, Việt Nam học: Định hướng nghiên cứu và đào tạo (共著) |
11. |
2019/10 |
論文 |
信田敏宏ほか編『東南アジア文化事典』 (共著) |
12. |
2019/07 |
論文 |
「ベトナム村落の独居高齢者をめぐる家族規範の形成と実践の複相性:文化人類学的研究」研究経過報告書 京都産業大学総合学術研究所報 (14),137-146頁 (単著) |
13. |
2019/06 |
論文 |
書評―Petra Karlová, Japan's Pre-War Perspective of Southeast Asia: Focusing on Ethnologist Matsumoto Nobuhiro's Works during 1919-1945 文化人類学 84(1),105-107頁 (単著) |
14. |
2019/04 |
論文 |
森明子(編)『ケアが生まれる場—他者とともに生きる社会のために』 (共著) |
15. |
2019/03 |
論文 |
ベトナムから来日する女性の看護師・介護福祉士候補者たちのライフコースと家族規範—先行研究の整理と展望 比較家族史研究 33,80-94頁 (単著) |
16. |
2019/02 |
論文 |
速水洋子(編)『東南アジアにおけるケアの潜在力―生のつながりの実践』 (共著) |
17. |
2018 |
論文 |
国際人類学民族科学連合中間会議2017報告 文化人類学 82(4),569-573頁 (単著) |
18. |
2016 |
著書 |
Rethinking Representations of Asian Women: Changes, Continuity, and Everyday Life. (共著) |
19. |
2016 |
著書 |
Weaving Women's Spheres in Vietnam: The Agency of Women in Family, Religion and Community (共著) |
20. |
2016 |
論文 |
Nhan Hoc o Viet Nam: Mot so van de lich su, nghien cuu va dao tao. Edited by Nguyen Van Suu et.al. (共著) |
21. |
2016 |
論文 |
Rethinking Representations of Asian Women: Changes, Continuity, and Everyday Life. Edited by Noriko Ijichi, Atsufumi Kato, and Ryoko Sakurada (共著) |
22. |
2016 |
論文 |
Rethinking Representations of Asian Women: Changes, Continuity, and Everyday Life. Edited by Noriko Ijichi, Atsufumi Kato, and Ryoko Sakurada (共著) |
23. |
2016 |
論文 |
Weaving Women's Spheres in Vietnam: The Agency of Women in Family, Religion and Community. Edited by Kato Atsufumi (共著) |
24. |
2016 |
論文 |
Weaving Women's Spheres in Vietnam: The Agency of Women in Family, Religion and Community. Edited by Kato Atsufumi (共著) |
25. |
2016 |
論文 |
ケアの制度化をめぐって 民博通信 154,14-15頁 (単著) |
26. |
2016 |
論文 |
ベトナムの村落調停と通俗道徳―「集団」への謝罪という慣行について コンタクト・ゾーン 8,61-75頁 (単著) |
27. |
2016 |
論文 |
新刊書紹介―杉島敬志編『複ゲーム状況の人類学―東南アジアにおける構想と実践』 東南アジア 歴史と文化 45,159-163頁 (単著) |
28. |
2016 |
論文 |
西田英一・山本顕治(編)『振舞いとしての法―知と臨床の法社会学』 (共著) |
29. |
2016 |
論文 |
<書評>伊藤正子著『戦争記憶の政治学―韓国軍によるベトナム人戦時虐殺問題と和解への道』 コンタクト・ゾーン 8,102-107頁 (単著) |
30. |
2015 |
論文 |
原理原則の語り口と情状酌量の語り口―現代ベトナム村落における住民討議の構図 年報人類学研究 5,106-130頁 (単著) |
31. |
2015 |
論文 |
序―言語ゲームとしてのポリシー―人類学的考察 年報人類学研究 5,32-44頁 (単著) |
32. |
2014 |
論文 |
生権力 月刊みんぱく 2014(12),20-20頁 (単著) |
33. |
2013 |
著書 |
アイファ・オング 著 『<アジア>、例外としての新自由主義』 (共著) |
34. |
2013 |
著書 |
伏木香織ほか著『東南アジアがわかる教科書』Vol.2 (共著) |
35. |
2013 |
論文 |
書評―速水洋子・西真如・木村周平編『人間圏の再構築―熱帯社会の潜在力』 アジア・アフリカ地域研究 12(2),282-285頁 (単著) |
36. |
2012 |
論文 |
今井昭夫・岩井美佐紀(編著)『現代ベトナムを知るための60章』(第2版) (共著) |
37. |
2012 |
論文 |
新刊書紹介―古田元夫『ドイモイの誕生―ベトナムにおける改革路線の形成過程』 東南アジア―歴史と文化 41,133-137頁 (単著) |
38. |
2012 |
論文 |
書評―小林知著『カンボジア村落世界の再生』 文化人類学 77(1),187-189頁 (単著) |
39. |
2011 |
論文 |
小長谷有紀・後藤正憲共編『社会主義的近代化の経験―幸せの実現と疎外』 (共著) |
40. |
2011 |
論文 |
書評―角田猛之・石田慎一郎編著『グローバル世界の法文化―法学・人類学からのアプローチ』福村出版、2009年 コンフリクトの人文学 3,280-287頁 (単著) |
41. |
2011 |
論文 |
石田慎一郎編『オルタナティブ・ジャスティス―新しい<法と社会>への批判的考察』 (共著) |
42. |
2010 |
論文 |
Luong Hy Van et. al. eds. Hien Dai va Dong Thai cua Truyen Thong o Viet Nam: Nhung Cach Tiep Can Nhan Hoc (Quyen 1) (共著) |
43. |
2010 |
論文 |
書評―幡谷則子・下川雅嗣共編『貧困・開発・紛争―グローバル/ローカルの相互作用』上智大学出版、2008年 コンフリクトの人文学 2,344-351頁 (単著) |
44. |
2009 |
論文 |
「文化的むら」をめぐる「騒ぎ」―ベトナムにおける国家と住民の関係性をめぐる政策の人類学 南山考人 37,23-44頁 (単著) |
45. |
2009 |
論文 |
統治のモラルの民族誌―『自主管理』の時代を生きる中部ベトナム村落住民の政治人類学的研究 (単著) |
46. |
2008 |
論文 |
石塚道子・田沼幸子・冨山一郎(共編)『ポスト・ユートピアの人類学』 (共著) |
47. |
2004 |
論文 |
ベトナムにおける「民主」と村落共同体―「基層レベルにおける民主制度規定」の分析より 年報人間科学 25,183-198頁 (単著) |
48. |
2004 |
論文 |
小松和彦ほか(編)『文化人類学文献事典』 (共著) |
49. |
2001 |
論文 |
植民地統治下ベトナムのゲティン・ソヴィエト運動 (単著) |
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経歴 |
■ 学歴
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■ 職歴
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■ 主要学科目
入門演習、東南アジア地域論、地域社会と福祉、農村社会学、海外フィールドワーク入門、プロジェクト演習、文化人類学研究(大学院)、特論演習(大学院)、社会協働型ワークショップ(大学院) |
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■ 所属学会
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■ researchmap研究者コード
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その他 |
■ 研究課題・受託研究・科研費
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■ ホームページ
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■ 現在の専門分野
文化人類学、民俗学, 地域研究, ジェンダー, 農業社会構造, 社会福祉学 (キーワード:政治人類学、住民自治、ベトナム地域研究、ジェンダー論、農民研究、地域福祉)
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■ 科研費研究者番号
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■ 担当経験のある科目
1. |
文化人類学研究(京都産業大学) |
2. |
社会協働型ワークショップ(京都産業大学) |
3. |
海外フィールドワーク入門(京都産業大学) |
4. |
プロジェクト演習(京都産業大学) |
5. |
農村社会学(京都産業大学) |
6. |
地域社会と福祉(京都産業大学) |
7. |
東南アジア地域論(京都産業大学) |
8. |
現代社会の諸問題(京都産業大学) |
9. |
入門演習(京都産業大学) |
10. |
Xa hoi va van hoa Viet Nam hien dai(Vietnam Japan University, Vietnam National University, Hanoi) |
11. |
Methodology and Informatics for Sustainability Science(Vietnam Japan University, Vietnam National University, Hanoi) |
12. |
社会学(豊中市立 豊中看護専門学校) |
13. |
人間と文化(和歌山県立医科大学 保健看護学部) |
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