■ 研究概要
◆研究課題
数論, とくに多重ゼータ値の代数的理論
◆研究概要
数論という分野では数の性質に興味があって研究がなされる. とりわけゼータ関数の特殊値には非常に面白い性質がたくさんあり, 数論の最も重要な研究対象と言われている.
Riemannのゼータ関数を多重化した関数の正の整数点での値を多重ゼータ値と呼ぶ. これはEulerも研究していた対象だが, Eulerの時代には現代のような優れた計算機は存在しなかった. 1990年代のはじめにZagierが多重ゼータ値の近似値を計算する超人的なプログラムを開発し, それ以降多重ゼータ値は数学者や物理学者の間で盛んに研究されるようになった. これまでに多くのことが解明されてきたが, 参入してくる若手研究者や専門家は後を絶たない. 多重ゼータ値は多様な発展性を秘めており,今後も活発な研究が続く対象であると思う.
私は2018年ごろに, 根付き木写像というものを定義した. これは, Connes-Kreimerの根付き木Hopf代数という, 数理物理?理論物理?において登場したHopf代数にヒントを得て作った. 根付き木写像の良いところは, 多重ゼータ値の間の線形関係式を記述するということにある.
1. なぜその研究をしているのか
大学院生の頃からやっている研究で, 面白く, 性に合っているから.
2. 研究手法
いろんな分野の文献を調査し, 目的に叶うものを探す. 専門家と意見交換をする. 頭で考え, 手を動かして計算する. 計算処理ソフトPari/GPやRisa/asirなどを用いて, プログラムし, 計算実験することもある.
3. その研究の結果どのようなことができるようになるのか(わかるようになるのか)
多重ゼータ値の持つ代数的性質がわかるようになる. 分野の発展への貢献(および自己満)ができる.
4. 社会にどのように役立つのか
一般社会にすぐに応用できるということはないが, こういった基礎研究は数十年後, 数百年後の世の中で縁の下の力持ちになり得る. |
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