研究キーワード:数論、多重ゼータ値
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    (最終更新日:1000-01-01 00:00:00)
  タナカ タツシ   TANAKA TATSUSHI
  田中 立志
   所属   京都産業大学  理学部 数理科学科
   職種   教授
研究概要
■ 研究概要
◆研究課題
数論, とくに多重ゼータ値の代数的理論

◆研究概要
数論という分野では数の性質に興味があって研究がなされる. とりわけゼータ関数の特殊値には非常に面白い性質がたくさんあり, 数論の最も重要な研究対象と言われている.
 Riemannのゼータ関数を多重化した関数の正の整数点での値を多重ゼータ値と呼ぶ. これはEulerも研究していた対象だが, Eulerの時代には現代のような優れた計算機は存在しなかった. 1990年代のはじめにZagierが多重ゼータ値の近似値を計算する超人的なプログラムを開発し, それ以降多重ゼータ値は数学者や物理学者の間で盛んに研究されるようになった. これまでに多くのことが解明されてきたが, 参入してくる若手研究者や専門家は後を絶たない. 多重ゼータ値は多様な発展性を秘めており,今後も活発な研究が続く対象であると思う.
 私は2018年ごろに, 根付き木写像というものを定義した. これは, Connes-Kreimerの根付き木Hopf代数という, 数理物理?理論物理?において登場したHopf代数にヒントを得て作った. 根付き木写像の良いところは, 多重ゼータ値の間の線形関係式を記述するということにある.

1. なぜその研究をしているのか
大学院生の頃からやっている研究で, 面白く, 性に合っているから.
2. 研究手法
いろんな分野の文献を調査し, 目的に叶うものを探す. 専門家と意見交換をする. 頭で考え, 手を動かして計算する. 計算処理ソフトPari/GPやRisa/asirなどを用いて, プログラムし, 計算実験することもある.
3. その研究の結果どのようなことができるようになるのか(わかるようになるのか)
多重ゼータ値の持つ代数的性質がわかるようになる. 分野の発展への貢献(および自己満)ができる.
4. 社会にどのように役立つのか
一般社会にすぐに応用できるということはないが, こういった基礎研究は数十年後, 数百年後の世の中で縁の下の力持ちになり得る.
業績
■ 学会発表
1. 2008 多重ゼータ値の川島関係式の代数的解釈とその応用(代数的整数論とその周辺(at RIMS))
2. 2009 多重ゼータ値の巡回和公式の代数的証明(日本数学会年会)
3. 2009 On some relations for multiple L-values(解析数論およびその周辺の諸問題(at RIMS))
4. 2010 等号付き多重ゼータ値の特殊値について(日本数学会年会)
5. 2010 等号付き多重ゼータ値に対するBowman-Bradleyの定理(日本数学会秋季総合分科会)
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■ 著書・論文歴
1. 2009 論文  On the quasi-derivation relation for multiple zeta values Journal of Number Theory 129,pp.2021--2034 (単著) 
2. 2010 論文  An algebraic proof of the cyclic sum formula for multiple zeta values Journal of Algebra 323,pp.766--778 (共著) 
3. 2010 論文  Algebraic interpretation of Kawashima relation for multiple zeta values and its applications RIMS Kokyuroku-Bessatsu B19,pp.117--134 (単著) 
4. 2010 論文  A simple proof of certain formula for multiple zeta-star values J. Alg., Num. Th.: Adv. and Appl. vol.3(2),pp.97--110 (単著) 
5. 2011 論文  Cyclic sum formula for multiple L-values Journal of Algebra 348 (共著) 
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経歴
■ 学歴
1.
(学位取得)
Kyushu University PH.D.(Mathematics)
2.
(学位取得)
九州大学 博士(数理学)
■ 職歴
1. 2020/04~ 京都産業大学 理学部 数理科学科 教授
2. 2017/10~2018/02 Max Planck Institute for Mathematics 客員研究員
3. 2011/04~2020/03 京都産業大学 理学部 数理科学科 准教授
■ 所属学会
1. 日本数学会
その他
■ 研究課題・受託研究・科研費
1. 2019~2022  根付き木写像の基礎整備と多重ゼータ値の研究 基盤研究(C) 
2. 2023~  根付き木写像と多重ゼータ値・多重L値の研究 基盤研究(C) 
■ ホームページ
   http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~tatsushi/
■ 現在の専門分野
代数学 (キーワード:数論、多重ゼータ値)