研究キーワード:変分問題 楕円型微分方程式
    (最終更新日:1000-01-01 00:00:00)
  ワタナベ タツヤ   WATANABE TATSUYA
  渡辺 達也
   所属   京都産業大学  理学部 数理科学科
   職種   教授
研究概要
■ 研究概要
◆研究課題
非局所的相互作用を伴う変分問題における定在波の定性的性質と安定化効果の研究

◆研究概要
本研究では、数理物理に現れる様々な微分方程式について、定常問題の解の存在や漸近挙動、安定性等を考察する。これらの微分方程式の解は、ある関数の極値に対応するという構造に注目して、それぞれの微分方程式の特徴を関数の形状や極値の変化を調べることで解析する。
具体的な問題として、非線形シュレディンガー方程式の定在波の安定性の研究が挙げられる。非線形シュレディンガー方程式は、レーザー光の凝集等の物理現象を記述する方程式であって、定在波は中心的な役割を果たす。定在波の安定性については多くの研究があるが、空間2次元・3次元においてcubic非線形項に対する定在波は不安定であることが知られている。非線形光学ではcubicの非線形項が最も基本的なものであるため、『定在波を安定化させるような補正』を方程式に行う必要がある。その補正モデルを導出した物理学者が提唱した『定在波の安定化効果』に興味を持ち、これを数学的に解明することを目標にしている。
その中でも、非局所的相互作用による安定化効果に興味があり、これに関連する研究を行っている。非局所的相互作用は様々な状況で現れるが、例えば次のような効果から導出される。
(i) 非線形項が空間全体の情報から定まる場合
(ii) 連立方程式系を単独の方程式に帰着させた場合
(i)のような状況はある結晶内を通るビームの伝播を考えた場合に起こり、(ii)のような状況は磁場と相互作用する粒子の波動関数の運動を記述する方程式や光学における非線形カー効果を考慮した連立方程式系で現れる。これらの非局所的相互作用を伴う微分方程式における定在波の
安定性を、対応するエネルギー関数の形状を調べることで解析することが目標である。
業績
■ 学会発表
1. 2024/06 Ground state solution for the nonlinear Schrodinger equation with cubic-quintic type nonlinearities(Seminaire de Physique Mathematique - EDP IMB)
2. 2023/09 Stable standing waves for a Schrodinger system with nonlinear X^3 response(日本数学会 2023年 秋季総合分科会)
3. 2023/08 Stable standing waves for a Schrodinger system with nonlinear X^3 response(ICIAM2023)
4. 2023/05 Ground state solutions for quasilinear scalar field equations arising in nonlinear optics(The 13th AIMS Conference on Dynamical Systems, Differential Equations and Applications)
5. 2022/11 Stable standing waves for a Schrodinger system with nonlinear chi^3 response(楕円型・放物型微分方程式研究集会)
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■ 著書・論文歴
1. 2023 論文  Stable standing waves for a Schrodinger system with nonlinear X^3 response Journal of Mathematical Physics 64,pp.101506-- (共著) Link
2. 2023 論文  Existence and asymptotic behavior of positive solutions for a class of locally superlinear Schrodinger equation Manuscripta Mathematica  (共著) Link
3. 2022 論文  G-invariant positive solutions for a class of locally superlinear Schrodinger equations Journal of Mathematical Analysis and Applications 507,pp.125765 (共著) Link
4. 2022 論文  Uniqueness of asymptotic limit of ground states for a class of quasilinear Schrodinger equation with H^1-critical growth in R^3 Applicable Analysis 101,pp.671-691 (共著) Link
5. 2021 論文  Ground state solutions for quasilinear scalar field equations arising in nonlinear optics Nonlinear Differential Equations and Applications Research 28(Article:26) (共著) Link
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経歴
■ 学歴
1. 2003/04~2006/03 東京都立大学 理学研究科 数学専攻 博士課程修了 博士(理学)
2. 2001/04~2003/03 東京都立大学 理学研究科 数学専攻 修士課程修了
3. 1996/04~2001/03 早稲田大学 理工学部 数理科学科 卒業
■ 職歴
1. 2017/04~ 京都産業大学 理学部 数理科学科 教授
2. 2010/04~2017/03 京都産業大学 理学部 数理科学科 助教授・准教授
3. 2009/04~2010/03 大阪市立大学 理学研究科 数学研究所 特任准教授
4. 2007/04~2009/03 早稲田大学 理工学術院 日本学術振興会特別研究員
■ 主要学科目
微分積分学、解析学A・B、数学解析A・BLink
■ 所属学会
1. Mathematical Association of America(アメリカ数学協会)
2. 日本数学会
その他
■ 社会における活動
1. 2019/07~2019/07 せっけん膜を使った数学探求
2. 2018/09~2018/09 最小に関する数学
3. 2013/08~2013/08 その話題、Deepにズキューン
■ 海外活動
●海外研究活動の為の渡航回数(前年度実績)
 在留期間2週間以上のもの   計 0  回
 在留期間2週間未満のもの   計 2  回
●海外での国際会議、学会への出席回数及び発表回数(前年度実績)
 諸費用の主たる負担者   出席回数   発表回数
 主催者  0  回  0  回
 外国機関  0  回  0  回
 文部科学省・日本学術振興会  2  回  2  回
 文部科学省・日本学術振興会以外の政府関係機関  0  回  0  回
 所属機関  0  回  0  回
 財団等(寄付金・委任経理金含みます)  0  回  0  回
 自費  0  回  0  回
 計  2  回  2  回
●国際的な学会で使用する外国語
 口頭発表に主に用いる言語   英語  
 論文の執筆に主に用いる言語   英語  
■ 研究課題・受託研究・科研費
1. 2024/04~2027/03  基底状態解の変分的特徴付けに基づく 非線形分散型偏微分方程式の定在波の安定性解析 基盤研究(C) 
2. 2021/04~2025/03  非局所的相互作用を伴う変分問題における定在波の定性的性質と安定化効果の研究 基盤研究(C) 
3. 2018/04~2021/03  非局所的相互作用による定在波の安定化効果に関連する最小化変分問題の研究 基盤研究(C) 
4. 2015/04~2017/03  準線形シュレディンガー方程式におけるラグランジュ乗数問題と安定性解析への応用 基盤研究(C) 
5. 2011/04~2015/03  プラズマ物理に現れる準線形シュレディンガー方程式の双対変分構造に着目した研究 若手研究(B) 
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■ メールアドレス
  kyoin_mail
■ 受賞学術賞
1. 2023/12 日本数学会 第15回 日本数学会 函数方程式論分科会 福原賞
■ 現在の専門分野
数理解析学 (キーワード:変分問題 楕円型微分方程式) 
■ 科研費研究者番号
60549749
■ 外部研究者ID
orcID 0000-0003-3203-3504