研究キーワード:平滑筋、受容体、イオンチャネル、Ca2+、ストレス
    (最終更新日:1000-01-01 00:00:00)
  タナハシ ヤスユキ   TANAHASHI YASUYUKI
  棚橋 靖行
   所属   京都産業大学  生命科学部 先端生命科学科
   職種   准教授
研究概要
■ 研究概要
◆研究課題
平滑筋収縮調節メカニズムおよび平滑筋機能疾患の病態解明

◆研究概要
平滑筋組織は,末梢臓器および脈管系の管壁を構成しており,胃腸管および泌尿・生殖器の運動,気道抵抗の調節,血圧の調節といった様々な生理機能を担っている。平滑筋の収縮活性は,神経伝達物質やホルモンによって緻密に制御されている。これら内因性情報伝達物質は,平滑筋細胞に発現する受容体と結合して,それぞれの受容体に固有の情報伝達機構を作動させる。これにより,細胞に発現するCa2+透過性イオンチャネルの活性が変化する結果,細胞内のCa2+濃度が変化し,最終的に筋の収縮活性が変化する。また,平滑筋組織の伸展が機械刺激感受性チャネルを介して筋の収縮活性を変化させることも知られている。平滑筋組織の形態および機能的変化は,構成する臓器の機能異常につながる。平滑筋機能障害が原因となる疾患の例として,過敏性腸症候群や過活動膀胱が挙げられる。本課題では,未解明な点が未だ多く残されている①平滑筋収縮調節メカニズムおよび②過敏性腸症候群や過活動膀胱をはじめとする平滑筋機能疾患の病態について研究を行う。上記の点が明らかになれば,関連する疾患に対する新たな治療薬の開発に必要な基盤情報を提供することができる。
本年度も,小腸平滑筋の収縮調節におけるPiezo1チャネルの役割およびその収縮調節メカニズムについて研究を行う。また,マウス膀胱平滑筋のムスカリン作動性収縮におけるCa2+動員機構についても引き続き研究を行う。今年度はTRPCチャネルに加え,TRPMチャネル,Ano1チャネル,Oraiチャネルの関与についても検討する。さらに,過敏性腸症候群の病態解明に関する研究にも着手する予定である。
業績
■ 学会発表
1. 2024/09/13 カハール間質細胞の機械刺激受容性陽イオンチャネルPiezo1を介した小腸平滑筋収縮調節(第167回日本獣医学会学術集会)
2. 2024/08/03 マウス結腸輪走筋における機械刺激受容性陽イオンチャネルPiezo1による収縮調節機構(第66回日本平滑筋学会総会)
3. 2023/11/03 Regulation of Smooth Muscle Contraction in Mouse Ileum by Mechanosensitive Cationic Piezo1 Channels Expressed in Interstitial Cells of Cajal(The 10th Federation of the Asian and Oceanian Physiological Societies Congress (FAOPS2023))
4. 2023/08/04 カハール間質細胞の機械刺激感受性陽イオンチャネルPiezo1を介した小腸平滑筋収縮調節(第65回日本平滑筋学会総会)
5. 2023/08/04 腸管平滑筋収縮調節におけるムスカリン受容体サブタイプの役割~ムスカリン受容体欠損マウスを用いた研究~(第65回日本平滑筋学会総会)
全件表示(67件)
■ 著書・論文歴
1. 2024/07 著書  Muscarinic Regulation of Gastrointestinal Motility. In: Myslivecek, J., Jakubik, J. (eds) Muscarinic Receptor. Muscarinic Receptor. Neuromethods 211,pp.307-340 (共著) 
2. 2023/05 論文  Possible role of transient receptor potential melastatin 4 channels in adrenergic contractions in mouse prostate smooth muscles  85(7),pp.705-714 (共著) 
3. 2021/01 論文  Functions of Muscarinic Receptor Subtypes in Gastrointestinal Smooth Muscle: A Review of Studies with Receptor-Knockout Mice Int. J. Mol. Sci. 22(2),pp.926 (共著) 
4. 2020/03 論文  Further characterization of the synergistic activation mechanism of cationic channels by M2 and M3 muscarinic receptors in mouse intestinal smooth muscle cells Am J Physiol Cell Physiol 318,pp.C514-C523 (共著) 
5. 2019/04 論文  Neural anti-inflammatory action mediated by two types of acetylcholine receptors in the small intestine. Sci Rep 9((1)),pp.5887 (共著) 
全件表示(24件)
経歴
■ 学歴
1. 岐阜大学大学院連合獣医学研究科 博士課程修了 獣医学博士
■ 所属学会
1. 日本平滑筋学会
2. 日本獣医学会
3. 2019/09~ ∟ 評議委員
4. 日本薬理学会
5. 2019/04~ ∟ 学術評議員
■ 資格・免許
1. 2021/01/01 薬理学エデュケーターLink
その他
■ 研究課題・受託研究・科研費
1. 2024/04~  過活動膀胱の病態発現に関わるリモデリング機構の解明と新規治療薬標的の探索 基盤研究(B) 
2. 2023/04~  平滑筋-カハール-PDGFRα+細胞複合体の機械刺激受容チャネルPiezo1による腸管運動調節 基盤研究(C) 
3. 2020/04~2023/03  平滑筋に発現する機械刺激受容チャネルPiezo1の大腸運動調節における役割 基盤研究(C) 
4. 2019/05~  平滑筋に発現する機械受容チャネル Piezo1 の結腸運動調節における役割 その他の補助金・助成金 
5. 2013/04~2016/03  ムスカリン受容体の腸管運動制御におけるATP感受性Kチャネルの役割とその分子実態 若手研究B (キーワード:薬理学、生理学、シグナル伝達、腸管運動、ATP感受性Kチャネル)
全件表示(7件)
■ 講師・講演
1. 2023/08/04 腸管平滑筋収縮調節におけるムスカリン受容体サブタイプの役割~ムスカリン受容体欠損マウスを用いた研究~
2. 2019/12/13 腸管平滑筋収縮におけるイオンチャネルの役割とその制御機構~ムスカリン作動性ATP感受性K+チャネル調節機構~(鹿児島市)
■ ホームページ
   https://sites.google.com/view/ksu-laboratory-of-pharmacology/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0
   http://www.kyoto-su.ac.jp/department/nls/sennin/doubutu/tanahashi.html
   http://www.kyoto-su.ac.jp/graduate/g_ls/kyoin/tanahashi.html
   http://www.kyoto-su.ac.jp/liaison/sankangaku/seeds/nls.html
■ 受賞学術賞
1. 2023/12 International Journal of Molecular Sciences Trusted Reviewer
2. 2023/07 International Journal of Molecular Sciences The Top Downloaded Papers of IJMS in 2021
3. 2018/09 The American Physiological Society APS select (Muscarinic suppression of ATP-sensitive K channels mediated by the M3/Gq/11/phospholipase C pathway contributes to mouse ileal smooth muscle contractions)
4. 2012 日本比較薬理学・毒性学会奨励賞
■ 現在の専門分野
薬理学, 医療薬学, 獣医学 (キーワード:平滑筋、受容体、イオンチャネル、Ca2+、ストレス)