研究概要 |
■ 研究概要
◆研究課題
①仏教論理学派が紹介・批判するジャイナ教学説の総合的研究:存在論と認識論の観点から
②現代インド被差別民の自己尊厳獲得にみる異種協働が生む社会倫理の宗教人類学的研究
◆研究概要
研究課題①については、今年度は『真実集成(タットヴァサングラハ)』及び同書『細注(タットヴァサングラハ・パンジカー)』において紹介されるジャイナ教学説を網羅的に収集すること、またそれらのテキストの校訂・解読作業を進めたい。『真実集成』全26章のうち、今年度も引き続きジャイナ教徒の霊魂論・生命観が紹介される「ジャイナ教徒によって構想されるアートマンの考察」章を精読し、テキスト校訂と翻訳作業を行う。テキスト校訂に際しては二本の写本とチベット語訳を参照し、より正確で厳密な校訂テキストを作成する。また翻訳作業に際しては先行研究を批判的に検討し、より正確な和訳の作成を目指す。さらに、反論者の見解として現れるジャイナ教徒の学説を先行するジャイナ教文献においてトレース可能であるかどうかについても合わせて検討したい。
研究課題②については、インド共和国憲法の中心的起草者で、「不可触民解放の父」とも称されるビームラーオ・ラームジー・アンベードカル(1891-1956)が敢行した「仏教への改宗」とその前提となる「欧米留学における近代的価値観の獲得」について考察したい。昨年度は、アメリカの思想家ジョン・デューイの思想(主にプラグマティズム)がアンベードカルの言説や活動にいかなる影響を与えたかについて明らかにしたが、今年度はヨーロッパでの留学経験に目を転じ、イギリス及びドイツ滞在中に触れた思想や価値観の影響について考察する。アンベードカルは、仏教思想の中に自由・平等・合理性等の近代特有の価値観を見いだしたとされるが、そこには近代ヨーロッパにおける仏教理解の影響が色濃く見られる。オリエンタリズムと宗教をめぐる問題系を念頭に置きつつ、西洋近代において「仏教」が構築されていくプロセスについて再考してみたい。 |
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業績 |
■ 学会発表
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■ 著書・論文歴
1. |
2024/03 |
論文 |
人は快・不快をどのように知覚するのか? ―仏教思想から見たWell-beingと幸福― 京都産業大学世界問題研究所紀要 39,81-93頁 (単著) |
2. |
2023/12 |
論文 |
The Relationship between the Jainas and the Buddhist treatise Tattvasamgraha(-pa;jika) ジャイナ教研究(Journal of Jaina Studies) (29),pp.13-56 (単著) |
3. |
2023/03 |
論文 |
〈プラグマティズム〉という視座から見たインド仏教 京都産業大学世界問題研究所紀要 38,37-70頁 (単著) |
4. |
2022/03 |
著書 |
シャーンタラクシタ『真実集成』の原典研究 ―業報・論理・時間― (単著) |
5. |
2021/03 |
論文 |
B. R. アンベードカルの改宗論:「知的亡命」としての仏教への改宗 京都産業大学世界問題研究所紀要 36,71-110頁 (単著) |
6. |
2020/12 |
論文 |
Jaina doctrines transmitted by Tibetan Buddhists Memoirs of the Research Department of the Toyo Bunko 78,pp.85-114 (単著) |
7. |
2020/12 |
論文 |
The Meaning of bahyartha in Dignaga's and Jinendrabuddhi's Theories of Inference Reverberations of Dharmakirti's Philosophy. Proceedings of Fifth International Dhamakirti Conference pp.411-427 (単著) |
8. |
2019/09 |
論文 |
Dialogues on substance (dravya) and modification (paryaya) between Jaina and Buddhist philosophers: origin and development Journal of Jaina Studies (25),pp.forthcoming (単著) |
9. |
2018/12 |
論文 |
Common scriptural sources cited by Ratnakarashanti and Kamalashila Journal of Indian Tibetan Studies (22),pp.240-257 (単著) |
10. |
2018/07 |
論文 |
How to Deal with Future Existence: sarvastivada, Yogic Perception, and Causality Journal of Indian Philosophy 46(3),pp.437-454 (単著) |
11. |
2017 |
論文 |
Promblems Concerning Aptamimamsa 59 印度学仏教学研究 (Journal of Indian and Buddhist Studies) 第65巻(第3号),pp.pp. (84)-(91) [1122-1129] (単著) |
12. |
2016 |
著書 |
社会苦に挑む南アジアの仏教:B. R. アンベードカルと佐々井秀嶺による不可触民解放闘争(共著)(第1章「B. R. アンベードカルが示した<道(marga)>」[pp. 23-38],あとがき「仏教学と人類学の出会いと協働」[pp. 79-83]を担当) (共著) |
13. |
2016 |
論文 |
An Objection in the Hetubindu Ascribed to the Jainas 印度学仏教学研究(Journal of Indian and Buddhist Studies) 第64巻(第3号),pp.pp. (213)-(220) [1255-1262] (単著) |
14. |
2016 |
論文 |
TattvasamgrahaおよびTattvasamgrahapanjika 第21章「三時の考察(Traikalyapariksa)」校訂テキストと和訳(kk. 1809--1855) インド学チベット学研究 (20),76-130頁 (単著) |
15. |
2016 |
論文 |
台湾仏教・慈済会による慈善活動とその思想的基盤 ―菩薩行としてのボランティア活動と「人間仏教」の系譜― 京都産業大学日本文化研究所紀要 (第21号),pp. (48)-(103) [196-251]頁 (単著) |
16. |
2015 |
論文 |
TattvasamgrahaおよびTattvasamgrahapanjika 第21章「三時の考察(Traikalyapariksa)」校訂テキストと和訳(kk. 1785--1808) インド学チベット学研究 (第19号),158-209頁 (共著) |
17. |
2015 |
論文 |
仏教における存在と時間:三世実有論をめぐる諸問題を再考する インド哲学仏教学研究 (第22号),pp. 151-174頁 (単著) |
18. |
2014 |
著書 |
奥田聖應先生頌寿記念インド学仏教学論集(共著)(「ジャイナ教徒による刹那滅論批判」[pp. 425-437]を担当) (共著) |
19. |
2014 |
論文 |
Arcata's Views introduced in Jaina treatises 印度学佛教学研究 (Journal of Indian and Buddhist Studies) 第62巻(第3号),pp.pp. 1272-1279 [(208)-(215)] (単著) |
20. |
2013 |
論文 |
Conflicts and Interactions between Jaina Logicians and Arcata ジャイナ教研究(Journal of Jaina Studies) (第19号),pp.pp. 19-68 (単著) |
21. |
2012 |
著書 |
『覇権以後の世界秩序―海図なき時代と日本の明日―』 (共著)(「第9章 仏教文化圏の現在」を担当) (共著) |
22. |
2012 |
論文 |
「仏教と社会変革―妹尾義郎・B. R. アンベードカル・佐々井秀嶺の思想と実践―」 京都産業大学日本文化研究所紀要 (第17号),pp. (176)-(228)頁 (単著) |
23. |
2011 |
著書 |
Religion and Logic in Buddhist Philosophical Analysis, Proceedings of the Fourth International Dharmakirti Conference, Vienna, August 23-27, 2005 (共著)(antarvyapti and bahirvyapti re-examined) [pp. 423-435を担当] (共著) |
24. |
2011 |
論文 |
Remarks on the Origin of All-Inclusive Pervasion Journal of Indian Philosophy (Special Issue on 14t vol. 39,pp.pp. 521-534 (単著) |
25. |
2011 |
論文 |
「Yuktidipika 87,18-97-17 (ad SK 6ab) 和訳と注解」 インド学チベット学研究 (第15号),pp. (1)-(34)頁 (共著) |
26. |
2010 |
著書 |
『必生 闘う仏教』(共著)(「用語解説」を担当) (共著) |
27. |
2010 |
論文 |
「インド仏教復興運動の軌跡とその現況」 京都産業大学世界問題研究所紀要 第25巻,pp. 23-46頁 (単著) |
28. |
2009 |
論文 |
「Tattvasamgraha及びTattvasamgrahapanjika 第18章「推理の考察(Anumanapariksa)」和訳と訳注(3)」 インド学チベット学研究 (第13号),pp. 98-140頁 (単著) |
29. |
2008 |
論文 |
「Tattvasamgraha及びTattvasamgrahapanjika 第18章「推理の考察(Anumanapariksa)」和訳と訳注(2)」 インド学チベット学研究 (第12号),pp. 96-136頁 (単著) |
30. |
2007 |
論文 |
「Tattvasamgraha及びTattvasamgrahapanjika 第18章「推理の考察(Anumanapariksa)」和訳と訳注(1)」 インド学チベット学研究 (第11号),pp. 118-169頁 (単著) |
31. |
2006 |
著書 |
『推理論をめぐる仏教徒とジャイナ教徒の論争とその思想史的意義の考察』(京都大学へ提出の学位請求論文) (単著) |
32. |
2006 |
論文 |
「チベット人の伝えるジャイナ教思想」 『人文知の新たな総合に向けて』21世紀COEプログラム「グローバル化時代の多元的人文学の拠点形成」第 下巻,pp. 77-108頁 (単著) |
33. |
2005 |
論文 |
「ジャイナ論理学における内遍充論の生成と発展」 ジャイナ教研究 (第11号),pp. 53-94頁 (単著) |
34. |
2005 |
論文 |
「因果関係の確定方法とタルカの関係性 ―仏教説に対するジャイナ教徒の<異>意識と<同>意識」 『人文知の新たな総合に向けて』21世紀COEプログラム「グローバル化時代の多元的人文学の拠点形成」第 下巻,pp. 77-96頁 (単著) |
35. |
2004 |
論文 |
Durvekamisra's Reference to a Jaina Theory 印度学仏教学研究 第53巻(第1号),pp.pp. (11)-(14) (単著) |
36. |
2003 |
論文 |
Jaina objection against trividha-hetu: an opinion attributed to Patrasvamin 印度学仏教学研究 第52巻(第1号),pp.pp. (4)-(7) (単著) |
37. |
2003 |
論文 |
「推理論をめぐる仏教徒とジャイナ教徒の論争 ―証因の三条件と一条件の対立を中心に―」 南都仏教 (第83 号),pp. 60-97頁 (単著) |
38. |
2001 |
論文 |
Some Problems concerning tatputratva, an apparent logical reason 印度学仏教学研究 第50巻(第1号),pp.pp. 490-493 (単著) |
39. |
2000 |
論文 |
「カマラシーラ作Nyayabindupurvapaksesamksiptaの研究-anumana部分を中心に-」 印度学仏教学研究 第49巻(第1号),pp. 377-379頁 (単著) |
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経歴 |
■ 所属学会
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■ researchmap研究者コード
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その他 |
■ 現在の専門分野
中国哲学、印度哲学、仏教学 (キーワード:仏教論理学,ジャイナ教論理学,インド哲学,仏教思想,チベット仏教,インド仏教復興運動,エンゲイジド・ブッディズム)
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