研究概要 |
■ 研究概要
◆研究課題
「生命倫理」の諸問題への公権力の関与のあり方についての憲法学的研究
◆研究概要
人権の観念は、複数存在する平等な諸個人の公正な共存を図るものであり、個人の生き方や行為の選択ないし意思決定の自由の保障とともに、どのように生きるかという選択以前の個人の存在そのものの保障も含んでいる。日本国憲法の基本理念としての「個人の尊重」には、多様な異なる生き方をする諸個人の個別性の自由な発展が保障される面と、すべての人に共通に確保されなければならない「人として」の存在や扱いが保障される面の両方があると解される。
プライバシー権その他の権利を含め、自己決定の権利と自己決定を内実としない権利を包含する憲法上の権利の性格・内容を、生命倫理学や医事法学などの知見をも参照しつつ検討することで、臓器移植、終末期医療、ヒト胚の取扱い、人を対象とする研究などに関する生命倫理の諸問題に政策的に対処しようとする公権力の活動について、憲法上の分析・提言をおこなうことに取り組んでいる。
一般に、医療・医科学研究の実施について、患者・被験者の自己決定の保障が重要であることはいうまでないが、他方で、自己決定さえあれば何が行われてもよいとは考えられていない。ここには本人の利益を他者が測って意思決定するパターナリズムも含まれるが、誰がどのようにその利益に関する判断を下すのかについて、利益較量の実体面とともに、手続的な規律に関する考察もまた必要である。また、ヒトゲノム編集など先端的な研究・技術に対しては、さまざまな理由から民主的な決定によってそれを規制しようとする議論も主張されている。このような諸問題には憲法学による分析・検討が欠かせない。医療技術が発達し、医科学研究もさまざまな手法で進展している中で、医療倫理・研究倫理に関する国家の法政策の実体的・手続的内容について、家族ないし親密圏の自律性や専門職・研究者集団の自律性の保護などもふまえて憲法上の考察を進めていきたい。 |
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業績 |
■ 学会発表
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■ 著書・論文歴
1. |
2024/10 |
論文 |
医療における同意と親密な関係性――憲法上の「個人の尊重」から(1) 産大法学 58(3),269-296頁 (単著) |
2. |
2023/02 |
論文 |
再生医療の規制への憲法的視点 実験医学 41(2),26-31頁 (単著) |
3. |
2022/09 |
論文 |
判決紹介 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律36条の6第1項及び3項と憲法22条1項―要指導医薬品ネット販売規制事件 年報医事法学 (37),158-164頁 (単著) |
4. |
2022/07 |
論文 |
旧優生保護法と強制不妊手術 医事法判例百選[第3版](別冊ジュリストNo.258) 188-189頁 (単著) |
5. |
2021/09 |
論文 |
出生前検査と憲法 曽我部真裕・赤坂幸一・櫻井智章・井上武史編『大石眞先生古稀記念論文集 憲法秩序の新構想』 291-322頁 (単著) |
6. |
2020/10 |
論文 |
生命、自由及び幸福追求に対する権利に関する一考察 同志社法学 72(4),679-714頁 (単著) |
7. |
2020/09 |
その他 |
「自分らしい死」をめぐる法と倫理 法学セミナー (788),26-32頁 (単著) |
8. |
2020/03 |
著書 |
製薬と日本社会―創薬研究の倫理と法 (共著) |
9. |
2019/10 |
論文 |
家族と憲法:何が憲法上の問題となるのか 比較憲法学研究 (31),97-121頁 (単著) |
10. |
2019/08 |
その他 |
文献紹介 米村滋人編『生命科学と法の近未来』 年報医事法学 (34),224-229頁 (単著) |
11. |
2018/10 |
その他 |
医事法辞典 (共著) |
12. |
2018/09 |
論文 |
憲法問題としての研究倫理――学問の自律性と公共性 『初宿正典先生古稀祝賀 比較憲法学の現状と展望』 699-723頁 (単著) |
13. |
2018/04 |
論文 |
研究倫理審査を誰がおこなうのか(2・完)――統治論としての学問の自由 産大法学 52(1),29-48頁 (単著) |
14. |
2017/10 |
その他 |
プライバシーにかかる情報の検索結果からの削除を求めることができる場合 法学セミナー増刊速報判例解説(新・判例解説Watch) (21),17-20頁 (単著) |
15. |
2017/01 |
論文 |
研究倫理審査を誰がおこなうのか(1)――統治論としての学問の自由 産大法学 50(1=2),111-133頁 (単著) |
16. |
2015 |
著書 |
医事法講座第6巻 臓器移植と医事法 (共著) |
17. |
2015 |
論文 |
患者の保護と医療を受ける権利・学問の自由 年報医事法学 (30),126-135頁 (単著) |
18. |
2014 |
論文 |
研究倫理審査と憲法――学問の自由の観点から 岩瀬徹・中森喜彦・西田典之編集代表『町野朔先生古稀記念 刑事法・医事法の新たな展開[下巻]』(信山社 23-44頁 (単著) |
19. |
2014 |
その他 |
成年被後見人は選挙権を有しないとする規定の合憲性 ジュリスト(平成25年度重要判例解説) (1466),28-29頁 (単著) |
20. |
2013 |
著書 |
憲法Cases and Materials人権 第2版 (共著) |
21. |
2012 |
著書 |
子どもの医療と生命倫理・資料で読む[第2版] (共著) |
22. |
2012 |
論文 |
臨床研究と学問の自由 曽我部真裕・赤坂幸一編『大石眞先生還暦記念・憲法改革の理念と展開[下巻]』(信山社) 235-269頁 (単著) |
23. |
2011 |
著書 |
医科学研究の自由と規制―研究倫理指針のあり方 (共著) |
24. |
2011 |
著書 |
移植医療のこれから (共著) |
25. |
2011 |
論文 |
憲法学と生命倫理 公法研究 (73),171-181頁 (単著) |
26. |
2011 |
その他 |
文献紹介 甲斐克則編『ポストゲノム社会と医事法(医事法講座第1巻)』 年報医事法学 (26),261-266頁 (単著) |
27. |
2010 |
著書 |
判例講義 憲法Ⅱ 基本的人権・統治機構 (共著) |
28. |
2010 |
論文 |
医事法と憲法 憲法問題 (21),97-107頁 (単著) |
29. |
2010 |
論文 |
医行為規制と安全―憲法学の視点から 産大法学 44(1),120-136頁 (単著) |
30. |
2010 |
論文 |
妊娠中絶の権利は「自己決定権」か―公私区分の一断面 大石眞ほか編『初宿正典先生還暦記念論文集 各国憲法の差異と接点』(成文堂) 495-519頁 (単著) |
31. |
2009 |
著書 |
ヒト由来試料の研究利用―試料の採取からバイオバンクまで (共著) |
32. |
2009 |
著書 |
子どもの医療と生命倫理・資料で読む (共著) |
33. |
2009 |
著書 |
生体移植と法 (共著) |
34. |
2009 |
その他 |
文献紹介 小山剛・玉井真理子編『子どもの医療と法』 年報医事法学 (24),202-206頁 (単著) |
35. |
2008 |
論文 |
科学技術と民主主義―憲法学から見た「市民参加」論 初宿正典ほか編『佐藤幸治先生古稀記念論文集・国民主権と法の支配[上巻]』(成文堂) 79-100頁 (単著) |
36. |
2008 |
その他 |
生命・自由・自己決定権 大石眞・石川健治編『ジュリスト増刊・憲法の争点』 94-97頁 (単著) |
37. |
2007 |
著書 |
憲法Cases and Materials憲法訴訟 (共著) |
38. |
2007 |
論文 |
人体の一部を採取する要件としての本人の自己決定―憲法上の生命・身体に対する権利の視点から 産大法学 (3=4),71-111頁 (単著) |
39. |
2007 |
論文 |
生体移植と「患者の自己決定権」 法律時報 79(10),20-24頁 (単著) |
40. |
2007 |
その他 |
予防接種事故と補償請求 別冊ジュリストNo.186・憲法判例百選Ⅰ[第5版] 230-231頁 (単著) |
41. |
2007 |
その他 |
知っておきたい!バイオの法律と倫理指針 第3回「遺伝子解析」 バイオテクノロジージャーナル 7(6),748-752頁 (単著) |
42. |
2005 |
著書 |
ライフサイエンスにおける倫理的・法的・社会的問題についての調査研究成果報告書 (共著) |
43. |
2005 |
著書 |
憲法Cases and Materials人権・基礎編 (共著) |
44. |
2005 |
著書 |
憲法Cases and Materials人権・展開編 (共著) |
45. |
2005 |
論文 |
子どもからの脳死臓器移植とドナーの保護 年報医事法学 (20),79-84頁 (単著) |
46. |
2005 |
論文 |
法における「尊厳死」の捉え方 思想 (976),62-77頁 (単著) |
47. |
2004 |
著書 |
生命の倫理-その規範を動かすもの (共著) |
48. |
2003 |
その他 |
ニュースをみて憲法がわかる!「自己決定:脳死問題」 法学セミナー (581),26-27頁 (単著) |
49. |
2002 |
論文 |
子どもからの脳死臓器移植について--医療・生命科学研究における自己決定能力が十分でない者の保護・序説 西南学院大学法学論集 35(1=2),203-265頁 (単著) |
50. |
2001 |
著書 |
憲法本41 (共著) |
51. |
2001 |
論文 |
私人間効力について-憲法上の権利の概念の整理から 西南学院大学法学論集 33(4),95-127頁 (単著) |
52. |
2000 |
論文 |
会話のために-秋葉悦子先生のコメントへの応答 法の理論(成文堂) (20),199-210頁 (単著) |
53. |
2000 |
論文 |
胎児は憲法上の権利を持つのか-「関係性」をめぐる生命倫理と憲法学 法の理論(成文堂) (19),13-57頁 (単著) |
54. |
1997 |
論文 |
基本権を持つ法的主体と持たない法的主体(一)・(二・完)-「人格」をめぐる生命倫理と憲法学 法学論叢 141・6(47-65), 143・4(50-71 (単著) |
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■ 学歴
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■ 所属学会
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その他 |
■ 委員会・協会等
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