(最終更新日:1000-01-01 00:00:00)
  ナカヤマ シゲキ   NAKAYAMA SHIGEKI
  中山 茂樹
   所属   京都産業大学  法学部
   職種   教授
研究概要
■ 研究概要
◆研究課題
「生命倫理」の諸問題への公権力の関与のあり方についての憲法学的研究

◆研究概要
 人権の観念は、複数存在する平等な諸個人の公正な共存を図るものであり、個人の生き方や行為の選択ないし意思決定の自由の保障とともに、どのように生きるかという選択以前の個人の存在そのものの保障も含んでいる。日本国憲法の基本理念としての「個人の尊重」には、多様な異なる生き方をする諸個人の個別性の自由な発展が保障される面と、すべての人に共通に確保されなければならない「人として」の存在や扱いが保障される面の両方があると解される。
 プライバシー権その他の権利を含め、自己決定の権利と自己決定を内実としない権利を包含する憲法上の権利の性格・内容を、生命倫理学や医事法学などの知見をも参照しつつ検討することで、臓器移植、終末期医療、ヒト胚の取扱い、人を対象とする研究などに関する生命倫理の諸問題に政策的に対処しようとする公権力の活動について、憲法上の分析・提言をおこなうことに取り組んでいる。
 一般に、医療・医科学研究の実施について、患者・被験者の自己決定の保障が重要であることはいうまでないが、他方で、自己決定さえあれば何が行われてもよいとは考えられていない。ここには本人の利益を他者が測って意思決定するパターナリズムも含まれるが、誰がどのようにその利益に関する判断を下すのかについて、利益較量の実体面とともに、手続的な規律に関する考察もまた必要である。また、ヒトゲノム編集など先端的な研究・技術に対しては、さまざまな理由から民主的な決定によってそれを規制しようとする議論も主張されている。このような諸問題には憲法学による分析・検討が欠かせない。医療技術が発達し、医科学研究もさまざまな手法で進展している中で、医療倫理・研究倫理に関する国家の法政策の実体的・手続的内容について、家族ないし親密圏の自律性や専門職・研究者集団の自律性の保護などもふまえて憲法上の考察を進めていきたい。
業績
■ 学会発表
1. 2024/10/19 身体への侵襲を受けない自由(提題)(第54回日本医事法学会研究大会ミニワークショップ「身体への侵襲を受けない自由」)
2. 2023/11/18 医療における「個人の尊重」と親密性――憲法の視点から(第53回日本医事法学会研究大会ワークショップ「家族と医療」)
3. 2018/10/27 家族と憲法:何が憲法上の問題となるのか(第30回比較憲法学会総会・研究会)
4. 2015 「健康・医療戦略」の立法学――再生医療等安全性確保法について(第61回憲法史研究会)
5. 2014 学問の自由と法の支配(第59回日本人類遺伝学会・第21回日本遺伝子診療学会合同大会)
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■ 著書・論文歴
1. 2024/10 論文  医療における同意と親密な関係性――憲法上の「個人の尊重」から(1) 産大法学 58(3),269-296頁 (単著) 
2. 2023/02 論文  再生医療の規制への憲法的視点 実験医学 41(2),26-31頁 (単著) 
3. 2022/09 論文  判決紹介 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律36条の6第1項及び3項と憲法22条1項―要指導医薬品ネット販売規制事件 年報医事法学 (37),158-164頁 (単著) 
4. 2022/07 論文  旧優生保護法と強制不妊手術 医事法判例百選[第3版](別冊ジュリストNo.258) 188-189頁 (単著) 
5. 2021/09 論文  出生前検査と憲法 曽我部真裕・赤坂幸一・櫻井智章・井上武史編『大石眞先生古稀記念論文集 憲法秩序の新構想』 291-322頁 (単著) 
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経歴
■ 学歴
1.
(学位取得)
京都大学 修士(法学)
■ 所属学会
1. 日本公法学会
2. 比較憲法学会
3. 日本医事法学会
4. 日本法社会学会
5. 日本生命倫理学会
その他
■ 委員会・協会等
1. 2019/04~2022/03 滋賀県公文書管理・情報公開・個人情報保護審議会 委員
2. 2014/04~2019/03 滋賀県情報公開審査会 委員
■ 現在の専門分野
公法学