研究概要 |
■ 研究概要
◆研究課題
(1)五山僧の蘇軾詩注釈から見る中国書籍文化の日本中世への影響に関する実証的研究(科研費基盤研究(C)研究代表者)
(2)『日本書紀』における天智をめぐる諸問題についての研究(個人研究)
(3)日本占領下の北京における西洋古典音楽を媒介にした日中文化交渉の研究(個人研究)
◆研究概要
(1)では、五山僧の蘇軾詩注釈を資料に、日本中世における漢籍の舶載状況を明らかにする。日本の中世文化は中国近世(宋元明)文化からつよい影響をうけたが、重要な役割を果たしたのは漢籍である。1127年に中国では南宋が成立し、商業印刷出版(坊刻)が本格的に始まった。それは元明時代にいっそう拡大し、漢籍の生産量は飛躍的に増加した。くだんの増加は日中間の貿易の拡大にともない、日本の漢籍輸入量の増加に直結したはずである。中世文化の一つの中心であった五山禅林では蘇軾詩が流行した。遅くとも南北朝時代には講釈がおこなわれ、いくつもの注釈(抄物)が作られた。これら蘇軾詩抄には詩の注解のため大量の漢籍が引用されている。これらの出典を究明することで、南北朝から室町時代にいたる漢籍の舶載状況が解明できる。本年度は、本研究の遂行に必須の、抄物(『四河入海』)と各蘇軾詩集の対応表を作成する。
(2)では、天智朝における周公故事と『周礼』の影響をおもに論じる。周公は周王朝をひらいた武王の弟、『周礼』はその周公がさだめた理想的な統治制度を述べた書とされる。周公の事績と『周礼』の内容は、魏晋から隋唐まで歴代王朝の統治理念におおきな影響をあたえた。本研究は、その影響が天智朝にまで到達していたことに実証性をあたえたい。具体的には、天智が自身の正統性を喧伝するため周公故事や『周礼』を利用したことを論ずる。また『日本書紀』編纂の最終段階でおこなわれた天智の神聖化の手法についても附言する。
(3)では、日本占領下の北京(1937~45年)における西洋古典音楽をめぐる日本と中国の人的交渉について論じる。新文化運動を背景に、1920年代の北京では西洋古典音楽の享受が拡大したが、それは日本占領期にどうなったのか。占領下の北京には音楽家をふくむ多くの日本人が渡航したが、どのような音楽的交渉があったのか。そのような視点から調査をおこなう。 |
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業績 |
■ 学会発表
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■ 著書・論文歴
1. |
2023/03 |
論文 |
明治期における『随園食単』の受容について――木原章六「随園食単註訳」と陽其二『家庭支那料理法』 京都産業大学日本文化研究所紀要 (28),1-28頁 (単著) |
2. |
2023/03 |
論文 |
玉里文庫所蔵太平天国印書と五代友厚 京都産業大学日本文化研究所紀要 (28),29-44頁 (単著) |
3. |
2022/06 |
論文 |
巻子から冊子へ――馮道の九経刊行の意義 汲古 81,20-25頁 (単著) |
4. |
2022/03 |
論文 |
『往生要集外典抄』出典考――『文選』の利用を中心に 京都産業大学論集 人文科学系列 55,288-276頁 (単著) |
5. |
2022/03 |
論文 |
『袖中抄』と類書 京都産業大学日本文化研究所紀要 27,1-19頁 (単著) |
6. |
2022/02 |
論文 |
袖中抄と大観本草 和漢比較文学 68,58-72頁 (単著) |
7. |
2021/06 |
論文 |
中国における冊子の誕生とソグド人 汲古 79,26-31頁 (単著) |
8. |
2021/03 |
論文 |
『三教勘注抄』と類書 京都産業大学論集 人文科学系列 54,352-331頁 (単著) |
9. |
2021/03 |
論文 |
藤原敦光の文選学 京都産業大学日本文化研究所紀要 26,1-21頁 (単著) |
10. |
2018/12 |
論文 |
朱敦儒「水龍吟」後闋の解釈について――三国志物語の一資料 風絮 15,1-17頁 (単著) |
11. |
2018/04 |
著書 |
『日本書紀』の出典――類書問題再考 「記紀」の可能性 143-162頁 (共著) |
12. |
2017 |
論文 |
竹から紙へ──書写材料と気候変動 京都産業大学論集 人文科学系列 50,207-230頁 (単著) |
13. |
2016 |
論文 |
猿声はなぜ悲しいのか 京都産業大学論集 人文科学系列 49,129-143頁 (単著) |
14. |
2015 |
論文 |
雄略紀5年「葛城山の猟」の出典 京都産業大学論集 人文科学系列 48,177-191頁 (単著) |
15. |
2014 |
論文 |
「古記」所引『漢書』顔師古注について 京都産業大学論集 人文科学系列 47,73-86頁 (単著) |
16. |
2014 |
論文 |
『日本書紀』と唐の文章 萬葉集研究 35,345-378頁 (単著) |
17. |
2014 |
論文 |
『日本書紀』と類書 日本研究<釜山大学校> 15,7-28頁 (単著) |
18. |
2014 |
論文 |
吉備真備の『漢書』将来をめぐって 京都産業大学日本文化研究所紀要 19,1-17頁 (単著) |
19. |
2013 |
論文 |
唐代における『漢書』顔師古本の普及について──『史記索隠』『史記正義』を例にして 京都産業大学論集 人文科学系列 46,29-47頁 (単著) |
20. |
2013 |
論文 |
敦煌秘笈の『漢書』残巻 杏雨 16,115-131頁 (単著) |
21. |
2012 |
論文 |
憬興『無量寿経連義述文賛』所引外典考 歴史学部論集 2 (単著) |
22. |
2011 |
著書 |
史料としての『日本書紀』 津田左右吉を読みなおす 220-242頁 (共著) |
23. |
2011 |
論文 |
西域出土の古鈔本からみた『漢書』顔師古本 アジア遊学 140 (単著) |
24. |
2010 |
論文 |
日本側史料から見た『白氏文集』の北宋刊本 白居易研究年報 11 (単著) |
25. |
2010 |
論文 |
藤原道長の摺本文選 鷹陵史学 36 (単著) |
26. |
2009 |
論文 |
古代日本における『史記』の受容をめぐって 古代文化 61 (単著) |
27. |
2008 |
論文 |
『万葉集』左注と『日本書紀』 古代文化 60 (単著) |
28. |
2008 |
論文 |
『日本書紀』の潤色に利用された類書 日本歴史 723 (単著) |
29. |
2008 |
論文 |
范曄『後漢書』の伝来と『日本書紀』 日本漢文学研究 3 (単著) |
30. |
2007 |
論文 |
『日本書紀』と六朝の類書 日本中国学会報 59 (単著) |
31. |
2007 |
論文 |
『日本書紀』は「正史」か 鷹陵史学 33 (単著) |
32. |
2007 |
論文 |
『日本書紀』書名論序説 佛教大学大学院紀要 35 (単著) |
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経歴 |
■ 学歴
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■ 所属学会
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その他 |
■ 研究課題・受託研究・科研費
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■ 現在の専門分野
日本史, アジア史、アフリカ史 (キーワード:漢籍 日本書紀)
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