研究概要 |
■ 研究概要
20世紀における大規模な植民地支配と大戦は、それに伴う移民、難民、強制移住、引き揚げなど様々な形の人々の移動を引き起こしてきた。これら20世紀における大規模な人々の移動経験は、広く人文・社会科学における知の枠組みにとってどのような重要性を持つのだろうか。このような問題意識から、本研究はとりわけそれが人文・社会科学における時間論・空間論、および記憶論に対して有するインパクトに着目する。なぜなら、こうした大規模な住民移動・住民交換が発生した現場において、時間・空間および記憶は極めて特異な経験のされ方をされ、またそうした経験は近代における時間・空間・記憶のあり方を考える上で非常に重要な側面を有しているからである。
とりわけ、本研究の研究対象の一つであるポーランドは、20世紀において極めて大規模な国境変更と住民移動を経験した地域である。たとえば、現在ではポーランド領に含まれる下シロンスクやポモージェといった地域は、第二次世界大戦まではドイツ領であったが、第二次世界大戦後の国境変更によってドイツ人住民は追放され、ドイツ人のいなくなった無人の土地に、かわりにソ連領に編入されたポーランド東部国境地域(クレスィ)からのポーランド人が入植することになった。それまでそこに存在していたコミュニティが完全に消滅し、新たなコミュニティが発生することで、こうした地域は大きな時間的断絶を経験することになった。それまで通用していたドイツ語による地名は全て廃止され、かわりにポーランド風の地名が新たに「発明」され、通りや街区の名称も全て新しいものに変更された。ドイツ時代のこの土地の歴史や遺産・遺物は、ポーランドの文脈の中で新たな位置付け・意味づけが付与され、それが新たにポーランドの「国民の記憶」の一部に組み込まれていくことになった。
こうして、大規模な住民移動の経験は、そこに住む人々の時間・空間認識、および記憶のあり方、場所に関する想像力、場所と結びついたアイデンティティをラディカルに変容させる。移動の体験は、人々が経験する空間、時間のあり方にどのように影響を与えるのか。そしてそれは、場所や記憶、アイデンティティに関する人々のどのような想像力を生み出すのか。本研究では以上のようなことを明らかにする。 |
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業績 |
■ 学会発表
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■ 著書・論文歴
1. |
2023/11 |
著書 |
コルチャク ゲットー日記 (共著) |
2. |
2023/03 |
論文 |
「スラヴ世界のSF Part2 ――スタニスワフ・レムとその周辺」(シンポジウム報告) スラヴ学論集 (26),7-9頁 |
3. |
2022/05 |
論文 |
「ピョトル・シュルキンの〈ディストピア四部作〉 ――外部への脱出を求めて」 スラヴ学論集 (25),49-61頁 |
4. |
2022/03 |
論文 |
「収容所の過去を再解釈するということ――『パサジェルカ』映画版と小説版をめぐって」 京都産業大学論集 人文科学系列 (55),91-118頁 |
5. |
2021/12 |
その他 |
『ホロコーストとヒロシマ――ポーランドと日本における第二次世界大戦の記憶』 91-133頁 (共著) |
6. |
2021/03 |
論文 |
「『社会学的テクスト』としてのSF文学の可能性 ――『時間の社会学』の観点から読む『所有せざる人々』」 京都産業大学論集 社会科学系列 (38),75-96頁 |
7. |
2021/03 |
論文 |
「産炭地をめぐる記憶と表象 ――ポーランドの炭鉱住宅ニキショヴィエツとギショヴィエツをめぐって」 京都産業大学論集 人文科学系列 (54),241-272頁 |
8. |
2020/11 |
その他 |
『社会学で読み解く文化遺産——新しい研究の視点とフィールド』 157-162頁 (共著) |
9. |
2020/09 |
その他 |
「ポーランド派」誕生前夜――社会主義リアリズム映画と『鉄路の男』 視る:京都国立近代美術館ニュース 3-4月号(507),2-4頁 |
10. |
2019/10 |
その他 |
「書評に応えて」 ソシオロジ 64(2),108-112頁 |
11. |
2019/03 |
論文 |
「団地ノスタルジアのゆくえ――安部公房と柴崎友香の作品を手がかりとして」 京都産業大学論集 社会科学系列 (36),75-102頁 |
12. |
2019 |
論文 |
Pamięć o socjalizmie i zabytki socjalizmu. Ochrona zabytków PRL w Tychach Studia Krytyczne (8) |
13. |
2018/06 |
その他 |
『ユートピアの記憶と今――映画・都市・ポスト社会主義』 (単著) |
14. |
2017/03 |
論文 |
「『社会主義の計画都市』の現在と過去の記憶――ポーランド、ティヒ市の調査から」 開智国際大学紀要 (16),19-32頁 |
15. |
2016/02 |
論文 |
「スタニスワフ・レムにおけるロボットの身体――短編『テルミヌス』を中心に」 開智国際大学紀要 (15),5-17頁 |
16. |
2015/03 |
論文 |
「労働英雄を思い出すということ――アンジェイ・ワイダ監督『大理石の男』を中心に」 スラヴ学論集 (18),85-120頁 |
17. |
2015/03 |
論文 |
(書評)「高橋和・中村唯史・山崎彰編『映像の中の冷戦後世界─ロシア・ドイツ・東欧研究とフィルム ・アーカイブ』(山形大学出版会、2013年)」 東欧史研究 (37),55-59頁 |
18. |
2013/06 |
その他 |
「ポスト社会主義期における社会主義的『ユートピア』の記憶と現在――ポーランド、ノヴァ・フータ地区を事例として」 社会学評論 64(1),20-36頁 |
19. |
2012/11 |
その他 |
「トランジショナルな社会における親密圏・公共圏の再編成から学ぶ――ハンガリー・ウクライナ・ポーランド・スロバキア・中国を事例として」 京都大学グローバルCOEプログラム「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」ワーキングペーパー(次世代研究82) |
20. |
2012/07 |
論文 |
「社会主義的近代におけるユートピア的想像力の文化社会学的研究――社会主義およびポスト社会主義のポーランドにおける表象と記憶」(博士論文) 京都大学 |
21. |
2012/02 |
その他 |
「トランジショナルな社会における家族とコミュニティの考察――ウクライナ・スロバキア・ポーランド・ハンガリー・中国を事例として」 京都大学グローバルCOE「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」ワーキングペーパー(次世代研究62) |
22. |
2011/03 |
その他 |
「映像文化と親密圏に関する比較社会学的研究――旧ソ・東欧圏と東アジアにおけるモダニティを対象として」 京都大学グローバルCOE「親密圏と公共圏の再編成をめざすアジア拠点」ワーキングペーパー(次世代研究46) |
23. |
2010/05 |
その他 |
「社会主義体制における現実の表象――ポーランド・ドキュメンタリー映画の検討から」 フォーラム現代社会学 9(9),113-125頁 |
24. |
2009/12 |
その他 |
「社会主義ポーランドの『雪どけ』と性愛の表象――映画『地下水道』を中心に」 京都社会学年報 (17),43-65頁 |
25. |
2009/02 |
その他 |
「社会主義文化における非行少年へのまなざし――『雪どけ』期のポーランド映画における『ちんぴら』像の検討から」 ソシオロジ 53(3),55-71頁 |
26. |
2004/12 |
その他 |
(書評論文)「感情・家庭・資本主義――感情の社会学と家族 Arlie Russel Hochschild, The Commercializaiton of Intimate Life : Notes from Home and Work.(University of California Press, 2003)」 京都社会学年報 (12),235-242頁 |
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経歴 |
■ 学歴
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■ 職歴
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■ 所属学会
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■ 資格・免許
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その他 |
■ 社会における活動
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■ 研究課題・受託研究・科研費
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■ 委員会・協会等
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■ ホームページ
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■ 受賞学術賞
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■ 現在の専門分野
地域研究, 社会学, 地域研究, 社会学, 地域研究, 社会学 (キーワード:ポーランド、記憶、ポスト社会主義、都市、映画、炭鉱、ホロコースト、文学、ユートピア、団地、文化遺産、社会学、SF、映画、ポスト社会主義、社会主義、記憶、都市、ポーランド、炭鉱、ホロコースト、文学、ユートピア、団地、文化遺産、社会学、SF、映画、ポスト社会主義、社会主義、記憶、都市、ポーランド)
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■ 科研費研究者番号
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■ 担当経験のある科目
1. |
エコノミクス・ワークショップ(東欧における経済変化と労働環境)(同志社大学) |
2. |
エリアスタディ(佛教大学) |
3. |
フィールドワークの方法(開智国際大学) |
4. |
マネー論(甲南女子大学) |
5. |
メディア学入門(京都学園大学) |
6. |
人文総合科学外書講読(立命館大学) |
7. |
地域社会研究(開智国際大学) |
8. |
地域社会研究特殊(開智国際大学) |
9. |
教育社会学(開智国際大学) |
10. |
文化資源論(開智国際大学) |
11. |
映像メディアの歴史(開智国際大学) |
12. |
映像メディア論(京都産業大学) |
13. |
映像メディア論(京都産業大学) |
14. |
映画と文化(開智国際大学) |
15. |
現代社会とジェンダー(開智国際大学) |
16. |
現代社会論(京都産業大学大学院) |
17. |
社会学(開智国際大学) |
18. |
社会学入門B(京都産業大学) |
19. |
社会学入門B(京都産業大学) |
20. |
社会学(講読)(京都大学) |
21. |
社会調査入門(京都産業大学) |
22. |
社会調査入門(京都産業大学) |
23. |
社会調査方法論(京都産業大学) |
24. |
社会調査方法論(京都産業大学) |
25. |
社会調査法I(開智国際大学) |
26. |
社会調査法II(開智国際大学) |
27. |
都市社会学(京都産業大学) |
28. |
都市社会学(京都産業大学) |
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