マエカワ マユコ   MAEKAWA MAYUKO
  前川 真裕子
   所属   京都産業大学  現代社会学部 現代社会学科
   職種   准教授
発表年月日 2024/05/13
発表テーマ 「ガッサン・ハージを知るためのごく短い序説」
会議名 「人類学者ガッサン・ハージとイスラエル/パレスチナ問題をめぐる言論・学問の自由──「反ユダヤ主義」言説を問い直す」
主催者 イスラーム信頼学シンポジウム
国名 日本
開催地名 慶應義塾大学三田キャンパス 南校舎2階421教室
会議区分 国内会議
講演区分 パネリスト
単独共同区分 共同
発表者・共同発表者 黒木英充 (東京外国語大学・アジア・アフリカ言語文化研究所・東アラブ地域研究)
塩原良和 (慶應義塾大学・法学部・社会学)
小森謙一郎 (武蔵大学・人文学部・ヨーロッパ思想史)

共催
・科学研究費学術変革領域研究(A)「イスラーム信頼学」総括班(研究代表者: 黒木英充(ILCAA) 課題番号: 20H05823)
・慶應義塾大学大学院法学研究科/社会学研究科・塩原ゼミ
概要 趣旨:
『ホワイト・ネイション ネオ・ナショナリズム批判』(平凡社, 2003)、『希望の分配メカニズム パラノイア・ナショナリズム批判』(御茶の水書房, 2008)、『オルター・ポリティクス 批判的人類学とラディカルな想像力』(明石書店, 2022)の邦訳をはじめとする刺激的な研究で国際的に広く知られる人類学者ガッサン・ハージ氏は、2023年、オーストラリアからドイツのマックス・プランク研究所に拠点を移して新たな研究を開始していましたが、同年10月以降のパレスチナ・ガザにおけるイスラエルによる民族浄化/ジェノサイドの激化に対して批判的な発言をしたことにより、同研究所の職を解雇されました。本件は、多文化的・マルチエスニックな人類社会の在り方に関して非常に重要な問題提起をしてきた研究者に対する、驚くべき対応がドイツという国においてなされた点で衝撃的です。のみならず、イスラエル/パレスチナ問題をめぐるこれまでの国際政治の暗部を明るみに出し、言論の自由を通じて学問が人類社会に貢献する可能性を、他でもない西欧社会が著しく毀損していることもあぶりだしました(ドイツのみならずフランスも含めて、例えばジュディス・バトラー、マーシャ・ゲッセン、ナンシー・フレイザーについて、また米国ではハーバード大学等の学長をめぐって、同類の問題が起こっています)。本件は世界的な反響を呼んでいますが、日本国内では一部の研究者以外には広く知られているとは言えない状況にあります。今回、ハージ氏の著作・研究を日本に紹介する中心的な役割を果たしてきた社会学・人類学研究者と、ヨーロッパ思想史・東アラブ地域研究の研究者とがこの問題を議論し、私たちが国際政治の現実のみならず、学術・研究一般の次元においても、極めて重要な岐路に立っているとの危機感を共有し、今後の針路を考える場をもちます。多くの方々の参加を呼びかけます。