ナカムラ ノブヒロ   NAKAMURA NOBUHIRO
  中村 暢宏
   所属   京都産業大学  生命科学部 先端生命科学科
   職種   教授
発表年月日 2024/11/27
発表テーマ YIPFα1Aの3'UTRによる発現調節機構の解析
会議名 第47回日本分子生物学会年会
主催者 日本分子生物学会
学会区分 全国学会
発表形式 ポスター
単独共同区分 共同
国名 日本
開催地名 福岡
開催期間 2024/11/27~2024/11/29
発表者・共同発表者 中西 百合香、中村暢宏
概要 YIPドメインファミリー(YIPF)はゴルジ体周辺に局在する5回膜貫通タンパク質であり,全ての真核生物に保存されている。YIPFはYpt/Rabと相互作用し,小胞体-ゴルジ体間の輸送小胞の形成または融合に関与すると考えられている。YIPFはα,βサブユニットからなる2量体が複数集合した高次複合体を形成しており,局在とサブユニット構成の異なる3種類の複合体が存在する。ヒトYIPFファミリーメンバーの1つであるYIPFα1Aは,外来性のタンパク質発現量が顕著に低く,内在性の3'UTRが極端に長いという特徴をもつ。YIPFα1Aの翻訳領域に3'UTRを付加すると翻訳領域のみと比較してmRNA量,タンパク質量が増加することから,3'UTRによって転写後発現調節されている可能性が考えられた。また,YIPFα1Aの3'UTR(2230塩基)の前半領域(1-1118)には,翻訳レベルでYIPFα1Aのタンパク質量を増加させる効果がある可能性が示唆された(高司時生,第45回,日本分子生物学会大会発表)。そこで本研究では,3'UTRの前半領域のうち発現調節に重要な領域を同定すること,また,その調節機構を明らかにすることを目的として解析を行なった。3'UTRの前半領域をさらに欠損させた断片を翻訳領域に付加し,mRNA量とタンパク質量を比較した。その結果,3’UTRの最も上流側の1-373,1-746の領域を付加することでmRNA量,タンパク質量がともに増加した。したがって,YIPFα1Aの3’UTRによる発現調節には,3’UTRの上流側1/6~1/3(1-746)が重要であると考えられた。一般的に3'UTRがmRNAの安定化する機能を持つことから,YIPFα1AについてもmRNAが安定化した可能性が考えられる。一方,タンパク質量増加の機構としては翻訳量の増加または分解量の減少が考えられるが,いずれも3'UTRが関与することが知られている。以上のことから,YIPFα1Aの3'UTRがmRNAとタンパク質レベルの両方でタンパク質発現を調節する機能を持つ可能性が示唆される。