イカザキ ヤスエ
IKAZAKI YASUE
伊ヶ崎 泰枝 所属 京都産業大学 外国語学部 ヨーロッパ言語学科 職種 准教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2025/03 |
形態種別 | 研究論文 |
査読 | 査読あり |
標題 | シモーヌ・ド・ボーヴォワール作品におけるシャルル・デュランの果たす役割について |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 『京都産業大学論集』人文科学系列 |
掲載区分 | 国内 |
出版社・発行元 | 京都産業大学 |
巻・号・頁 | 1(58),151-165頁 |
総ページ数 | 14 |
概要 | ボーヴォワールは高校教師をしていた頃に俳優兼演出家のシャルル・デュランと出会い, 彼のの指導力と演技力に心酔する。小説『招かれた女』執筆の際, 実生活の伴侶であるサルトルをそのまま作中人物ピエール・ラブルースに仕立て上げることに困難を覚え, デュランの特徴を借りてパリ的人物を創り上げた。さらにアトリエ座の劇団員からインスピレーションを得て夥しい数の俳優, 歌手, 脚本家といった人々を登場させた。実はこのパリ演劇界が持つ放縦な雰囲気は, ピエール, フランソワーズ, グザヴィエールからなる「トリオ」の試みと調和しており, 演劇界という背景は作品にとって必須の芸術的選択となっている。他方, 回想録においてもボーヴォワールはデュランの活動について多くのページを割いている。伴侶のシモーヌ・ジョリヴェに影響された占領中の彼の日和見的な選択と戦後の不遇な晩年の記録は, 回想録の中で芸術家の自由と責任の問題を提起している。デュランとの出会いは, 演劇界そのものがボーヴォワールの作品群に欠かせない要素となっていく結果をもたらした。 |