オダ ヒデノリ   ODA HIDENORI
  小田 秀典
   所属   京都産業大学  経済学部 経済学科
   職種   教授
研究期間 2001~2003
研究課題 マーケット・マイクロストラクチャー理論に基づくリサイクル市場への戦略設計
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 基盤研究(B)
研究機関 京都産業大学
科研費研究課題番号 13480115
研究者・共同研究者 小田 秀典,飯田 善郎,上田 完次,八杉 満利子,秋山 英三,三好 博之,西條 辰義,岩崎 敦
概要 本研究は、新しい経済学の理論と方法に基づいて、耐久財と非耐久財のリサイクル・システムを設計・提案するものである。 まず本研究の依拠する経済理論は、マーケット・マイクロストラクチャー理論である。この理論は、市場秩序の形成を、自らの利益のために仲買をする仲介業者の行動から、内生的に説明する。本研究は、この理論を応用して、製造業者(新製品とリサイクル品の供給者)を消費者(中古品の供給者)と廃棄物処理業者(廃棄物び需要者)の仲介業者としてモデル化して分析した。これにより、近年導入された「家電リサイクル法」のもとで、生産者リサイクルあるいは製品の長寿命化によって利益を確保できることなどが示された。 いっぽう本研究の経済分析は、実験経済学の方法に従っている。この経済学は、研究したい経済をゲームとして再現し、それを人間に実際にプレイさせることで分析する。本研究は、この方法に従ってリサイクル・モデルを人間にプレイさせ、人間の行動とシステムの挙動を観察した。その結果、あまりにも効率的なシステムは、経済主体の合理的行動からの小さな逸脱にも感応的すぎて、所期の性能を発揮できないことがあることなどが示された。 本研究は、マーケット・マイクロストラクチャー理論によるリサイクルの定式化と経済実験という当初の目標を上記のように達成しただけでなく、当初の予定にない成果もあげた。まず経済理論的には、耐久財の経済学の最新理論をリサイクル・モデルに導入できた。さらに分析方法としては、計算機環境を利用する被験者実験と、計算機エージェントをと被験者の両方を含む実験の2つの方法を確立でき、計算機実験と被験者実験を総合することができた。