オダ ヒデノリ   ODA HIDENORI
  小田 秀典
   所属   京都産業大学  経済学部 経済学科
   職種   教授
研究期間 2004~2005
研究課題 実世界ジレンマにおける共創的意思決定と制度設計
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 特定領域研究
研究機関 東京大学
科研費研究課題番号 16016228
研究者・共同研究者 上田 完次,八杉 満利子,馬場 靖憲,藤井 信忠
概要 前年度の基礎的な成果をもとに、本年度は実社会への適用という観点に着眼し研究を推進した。具体的には以下の4項目を進めた。 (1)共創的意思決定のシステム理論構築 実世界ジレンマについての明確な定義と共に、共創的意思決定のシステムモデルを構築し、その概念的な記述と問題のクラス分け、さらに共創的意思決定研究フレームにおける位置づけを明らかにした。 (2)限定合理的エージェントを導入した人工システムの共創的意思決定の分析 エージェントの合理性と最適性は、これまではモデルの大前提とされてきたが、複雑化する実世界の問題の解決のためには、合理性・最適性モデルには限界がある。そこで、人工システムにエージェントの限定合理性という視点を導入し、システムにプラスに寄与する可能性を検証した。数台の限定合理的なAGVを含む生産システムで、効率が向上することを確認した。 (3)リサイクル社会実現のための制度設計 リサイクル社会システムでは、個人利益と社会全体の利益の間にジレンマが生じている。このような環境を表したモデルで、リサイクルの制度に関する分析を進めた。結果として、廃棄物の回収方法に関する実際の制度について示唆を与えている。さらに、消費者の購買意思決定に着目した環境資源と消費行動間のジレンマ問題にも着目し、環境配慮型行動の誘発には環境資源に関する情報が重要であることを示した。 (4)社会共創としてのネットワーク分析 イノベーションの原動力は特定の制度のもと多様なアクター間に働く相互作用としての"共創"関係であるという視点から、"共創"関係を実現する社会環境の設計に関する分析を進めた。具体例として、産学連携の成功例として光触媒分野を取り上げ、日本の全特許出願から共同出願する発明人のネットワークを構築し、その定量分析を行った。 以上を総括し、研究成果の分析と評価を行うとともに、成果のとりまとめと公表を行った。