ナカムラ ノブヒロ   NAKAMURA NOBUHIRO
  中村 暢宏
   所属   京都産業大学  生命科学部 先端生命科学科
   職種   教授
研究期間 2003~2004
研究課題 ゴルジ体の機能状態を細胞がモニターする仕組みの解明
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 特定領域研究
研究機関 金沢大学
研究者・共同研究者 中村 暢宏
概要 これまでの研究から、間期の細胞においてGRASP65の277番目のセリン(S277)がリン酸化されていること、また、このリン酸化はEGFなどの増殖刺激で増大することがわかっている。昨年度の研究では、EGFによる増殖シグナルが、ERKを活性化させること、また活性化ERKがS277を直接リン酸化することを明らかにした。本年度は、S277が、M期において顕著にリン酸化されることを見いだし、その分子機構の解析を行った。S277付近のアミノ酸配列は(PGSPG)であって、ほ乳類のGRASP65で良く保存されていた。この部位は、cdk1/cyclinBのリン酸化酵素の認識配列に合致していた。M期の細胞質抽出液でGRASP65を処理するとS277は顕著にリン酸化され、これはcdkの特異的阻害剤であるroscovitinで阻害された。一方、MEKの阻害剤であるU0126存在下で調整し、ERKを不活化したM期の細胞質抽出液でもS277はリン酸化された。以上のことから、M期でのS277のリン酸化は、cdk1/cyclinBによっておこり、ERKは関与しないことが強く示唆された。驚いたことに、N末がミリスチン酸修飾されないGRASP65(Δm-GRASP65)を精製しG2期の細胞の細胞質に導入すると、M期への進行が顕著に阻害されることを見いだした。M期への進行限害は、導入するΔm-GRASP65のS277をアラニンに変異させるともはや観察されなかった。従って、Δm-GRASP65は、S277部位において何らかの細胞質因子と相互作用して細胞周期の進行を阻害していることが示唆された。さらに、リン酸化されたS277部位にPlk1が特異的に結合すること、また非リン酸化状態のS277部位に特異的に結合するタンパク質が存在することも見いだした。
PermalinkURL https://researchmap.jp/nnosaru3/awards/1908916