ナカムラ ノブヒロ   NAKAMURA NOBUHIRO
  中村 暢宏
   所属   京都産業大学  生命科学部 先端生命科学科
   職種   教授
研究期間 2002~2002
研究課題 ゴルジ体の構造がタンパク質の成熟の・輸送・品質管理に果たす役割の解析
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 特定領域研究
研究機関 金沢大学
研究者・共同研究者 中村 暢宏
概要 低pH処理などの細胞へのストレスが、ゴルジ体の分散を引き起こす分子メカニズムを明らかにするとともに、ゴルジ体の構造がタンパク質の成熟・輸送・品質管理にどのような役割を果たしているのかを解析する事を目的として実験を行った。(1)高張と低張処理でのゴルジ体の変化を形態学的に解析したところ、ゴルジ体の分散が観察されたが、低pH処理程の効果は見られなかった。そこで、細胞外液の組成を詳しく検討したところ、カリウムイオンの濃度が低いとゴルジ体の分散が見られる事が明らかとなった。カルシウムイオンやマグネシウムイオンによる効果は顕著ではなかった。現在、低pH処理や低カリウム処理によってゴルジ体が分散する原因をさらに検討中である。(2)GRASP65のリン酸化が細胞のストレス時に上昇する可能性が明らかになっているので、このGRASP65のリン酸化とゴルジ体構造変化の因果関係の解析を行った。GRASP65のリン酸化部位の解析を行ったところ、284番目のセリン残基(Ser284)が顕著にリン酸化されることを見いだした。Ser284は、血清やEGF刺激によってリン酸化が上昇する事が明らかとなった。また、細胞分裂期にも顕著なリン酸化の上昇を示す事が明らかとなった。現在、培養細胞を用いたアッセイ系及び、in vitroのゴルジ体再構成系を構築し、Ser284のリン酸化の機能の解析を行っている。(3)GTP結合変異型Sarlpを培養細胞に発現させると小胞体からゴルジ体への輸送が阻害される。この条件下でのゴルジ体の形態変化の解析を行った。変異型Sarlp発現後4時間でゴルジ体の多くのタンパク質が小胞体へ逆行輸送されるが、シスゴルジ層板の多くのタンパク質が小胞体へは輸送されず、細胞質の独立した膜構造体に残る事が明らかとなった。この結果は論文にまとめ現在投稿中である。
PermalinkURL https://researchmap.jp/nnosaru3/awards/1908913