セガワ ノリヒサ   SEGAWA NORIHISA
  瀬川 典久
   所属   京都産業大学  情報理工学部 情報理工学科
   職種   教授
研究期間 2001~2004
研究課題 ネットワーク上における戸口通信に関する研究
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 基盤研究(C)
研究機関 岩手県立大学
科研費研究課題番号 13680486
研究者・共同研究者 村山 優子,瀬川 典久,山根 信二
概要 本研究では,実世界における住居の出入り口の「戸」を利用した様々な通信を「戸口通信」と呼び,ネットワーク上に戸口通信を実現し,電脳空間における新しい形態のコミュニケーションシステムの可能性を探ることを目指した.ネットワーク上の戸口を利用した3つの主要なシステム,戸口伝言板,戸口ノック通信,戸下通信を構築し,運用実験を行った.戸口伝言板とは,学生寮のような環境で各個人の部屋のドアに設置された伝言板である.戸口ノック通信は,訪問者が訪問先の戸を叩くことで,通信の意志を相手に何らかの音の信号により知らせる実時間型のコミュニケーションシステムである.戸下通信とは,部屋の戸の下からそっとメモを入れるような秘匿通信である.戸口伝言板では,その簡易なインタフェースにより言語環境を問わず、海外から利用可能なシステムとなった。さらに、手書き機能の評価から,手書きの匿名化や情報の埋め込みなどのセキュリティ機能についての研究に展開した.戸口ノック通信については,ノック音だけでなく,その戸口を訪れた人を影で表現するようなアウェアネス機能の研究を進め、応用としてWWWの戸口ブラウザも構築した.さらにノック通信の障害者の介助支援のための応用を見つけ,運用実験を行った.介助者および被介助者とも,個別の個人の戸口よりも,多対多のコミュニケーションが可能な場としての戸口の方が,有用性が高いという知見を得た.今後,介助支援というアプリケーションにおける戸口通信の可能性を追求して行く計画である.戸下通信は,WWW上の情報の置き場としての機能をセキュリティの品質に応じて,「棚」や「コインロッカー」など様々な形のうち、2段階の品質について実装した.さらに評価に関し,安心感をどう得ることができるかという方向に展開し,現在,戸下通信をテストベッドとして,別途,「安心とトラスト」という研究を進めている。