セガワ ノリヒサ   SEGAWA NORIHISA
  瀬川 典久
   所属   京都産業大学  情報理工学部 情報理工学科
   職種   教授
研究期間 2003~2004
研究課題 筆跡情報を利用したステガノグラフィに関する研究
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 若手研究(B)
研究機関 岩手県立大学
科研費研究課題番号 15700067
研究者・共同研究者 瀬川 典久
概要 平成16年度は、平成15年度の研究で構築した筆跡情報を利用したステガノグラフィのモデルを用い、手書き文字を入力できるPC上に実装を行い、プロトタイプの有効性を実証した。また、プロトタイプの評価をおこなった。 また、プロトタイプの新しい評価手法として、生体情報を利用した筆跡情報のステガノグラフィの評価の手法を開発した。筆跡情報にステガノグラフィを構築した場合、当然のことながら元の筆跡から変形する。第3者に筆跡の変化が気づかれてしまったばあい、ステガノグラフィとしての意味がなくなる。そこで、人間が異なる二つの筆跡を他人のものと判断するか同一人と判断するかについて考察する必要がある。本年度は、人間の脳の働きを示す事象関連電位(ERP)を用い、脳の働きを観察しながら、人間が筆跡の匿名性を正確に判断しているのかを捕らえる実験手法を提案した。今回計測する事象関連電位は、P300である。P300とは、オドホール課題と呼ばれる出現確率の異なる刺激を弁別させる課題を行わせ刺激の種類ごとに選択的に加算平均処理を行うことで観測することが出来る脳波である。例えば、CRT画面上に"A","B"の2種類の文字をランダムに選択し一定の時間間隔で次々に提示する場合を考える。"A"と"B"それぞれの文字の出現確率を0.2と0.8として"A"が提示されたらボタンを押すように被験者に指示すると、低頻度刺激"A"が出現したときに刺激提示後約300msで脳波上に陽性のピーク波形が見られる。このピーク波形のことを、P300と呼び、その振幅等は刺激の弁別処理過程に対応する神経活動を反映していると考えられている。 開発した手法は、元の筆跡情報(カバーデータ)とそのカバーデータにステガノグラフィが構築された筆跡情報(ステゴデータ)の組を複数用意しそれを複数の被験者に同時に提示し、その二つの筆跡が同一の物か、違うものかを判断させる。違う物と判断させる実験を行えば、筆跡が異なると判断した場合P300が検出される。その場合、ステガノグラフィの構築は失敗したと判断できる。ステガノグラフィを構築するパラメータを変化させ、本実験を行い、本手法の評価を行った。