ニシミチ タカヒロ
NISHIMICHI TAKAHIRO
西道 啓博 所属 京都産業大学 理学部 宇宙物理・気象学科 職種 准教授 |
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研究期間 | 2007~2009 |
研究課題 | バリオン振動を用いたダークエネルギー探査と銀河バイアスの非線形効果 |
実施形態 | 科学研究費補助金 |
研究委託元等の名称 | 日本学術振興会 |
研究種目名 | 特別研究員奨励費 |
研究機関 | 東京大学 |
科研費研究課題番号 | 07J07066 |
研究者・共同研究者 | 西道 啓博 |
概要 | 本年度は、宇宙論的N体シミュレーションを用いて、将来の広視野深宇宙銀河赤方偏移探査から精密に測定されると期待される、銀河分布の空間統計に対する理論テンプレートを構築に取り組んだ。将来観測からは統計誤差の非常に小さい統計量の測定が期待されるため、理論側も少なくとも同程度以上に高精度のモデル構築をしなければならない。特に、宇宙晴れ上がり前の光子・バリオン混合流体の音響振動の微小な痕跡が現れるスケールに注目してモデル構築を進めてきた。また、このバリオン音響振動の情報を用いて暗黒エネルギーの性質について正しく情報を引き出すための方法論を検討してきた。 具体的には、揺らぎの進化過程で混入する非線形性の高精度な計算を行った。この非線形性には、構造の純粋な重力進化、赤方偏移から距離に変換する際に混入する銀河の特異速度の影響(=赤方偏移歪み)、及び、銀河分布とその背景にあるバリオン及び暗黒物質全体の分布の違い(=銀河バイアス)の三つの要因が挙げられる。本年度は、大規模なN体シミュレーションを行うとともに、従来の解析的モデルに取り入れられていなかった項を導出し、これらの相互比較により精度を評価し、非線形重力進化、赤方偏移歪みのモデルを完成させた。 また、このモデルの枠内で将来観測計画から得られると期待される暗黒エネルギーの制限を見積もった。この際、従来行われてきたパワースペクトルの等方成分のみではなく、非等方成分から来る情報を加えることで、より多くの情報を取り出すことが可能であり、暗黒エネルギーに対して強い制限を課すことができることを実証した。 |