ヒグチ アリカ
Higuchi Arika
樋口 有理可 所属 京都産業大学 理学部 宇宙物理・気象学科 職種 准教授 |
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研究期間 | 2006~2008 |
研究課題 | 惑星形成と多様な銀河環境を考慮した彗星雲の起源と進化についての研究 |
実施形態 | 科学研究費補助金 |
研究委託元等の名称 | 日本学術振興会 |
研究種目名 | 特別研究員奨励費 |
研究機関 | 国立天文台 |
科研費研究課題番号 | 06J11792 |
研究者・共同研究者 | 樋口 有理可 |
概要 | 彗星雲とは太陽系を球殻状に取り囲む彗星の巣である。彗星雲は惑星にならなかった微惑星によって形成されたと考えられている。惑星領域に残存した微惑星は惑星の重力散乱により遠方に放出され、その後、銀河潮汐力や近傍を通過する巨大分子雲や恒星からの摂動で現在の彗星雲を構成するような軌道に進化した。著者らはこれまでに、彗星雲形成には銀河潮汐力以外の外力が不可欠であることを示した。これを受けて、恒星遭遇による微惑星軌道の進化について調べた。 まず、理想的な恒星と太陽近傍の観測から見積もられる恒星をランダムに遭遇させ、その結果の微惑星の軌道進化を、衝撃近似法を用いて解析的に調べた。その結果、距離が大きな微惑星の場合、等方分布に達する前に特徴的な軌道傾斜角分布を持つようになるということなどがわかった。また、軌道要素の拡散に伴いエネルギーを得て星間空間に放出されてしまうため、恒星遭遇だけでもって等方分布を持つ彗星雲を形成することは不可能であることを示した。 以上を踏まえ、銀河潮汐力と恒星遭遇の両方を考慮した計算を行った。その結果、微惑星の大半が恒星遭遇の影響で星間空間に脱出してしまう前に等方分布を達成できるパラメタ領域があることがわかった。また、長周期彗星の軌道傾斜角分布にわずかに見られる等方分布からのずれが本研究からの予想と矛盾しないことを示した。 |