梶原 洋一 所属 京都産業大学 文化学部 国際文化学科 職種 准教授 |
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研究期間 | 2010~2010 |
研究課題 | 15世紀ドミニコ会における大学学位の意義 |
実施形態 | 科学研究費補助金 |
研究委託元等の名称 | 日本学術振興会 |
研究種目名 | 特別研究員奨励費 |
研究機関 | 東京大学 |
科研費研究課題番号 | 10J08960 |
研究者・共同研究者 | 梶原 洋一 |
概要 | 本年度の研究実施状況については、三つの面で大きな進展があった 第一に、ドミニコ会の学位政策を理解する前提として不可欠な、大学における神学部の位置づけに関し考察を深めた。その成果は、雑誌論文(裏面参照)として公表された。これにより、当時神学学位が置かれていた制度的環境を明らかにした。 第二に、ドミニコ会政治史・制度史と学位の問題を結びつけるという方向性においても、大きな前進が指摘できる。この方面では、学会発表(裏面参照)において今後研究が発展していく方向を示すとともに、ドミニコ会の学位政策にとって決定的な14世紀末時期を焦点とした個別研究を提示した。史料として、総長の書簡記録を用いることによって、ドミニコ会士の学位取得を巡る会内部の動向により詳細に迫ることができた。 第三に、15世紀のドミニコ会学位取得政策の展開について今後行うべき個別的実証研究の素材として、15世紀末のアヴィニョン大学神学部の事例を利用する可能性について、予備的な調査を実施した。アヴィニョン大学神学部では、15世紀後半から16世紀はじめにかけ、大学の会計簿が未刊行史料として残存しており、ここから神学部の教授、さらに学位取得者についての人物情報、集団的動態を明らかにできる。また、この時代には前段落で触れた総長の書簡記録が継続的に残されるようになるとともに、ドミニコ会総会記録の記述も充実する。双方の史料から得られるデータを対照することで、アヴィニョンという地方レベルでの実際と、ドミニコ会中枢の意思決定との関係を考察するという作業が行いやすい環境が存在する。ゆえに今後は実際に渡欧し、アヴィニョンのヴォクルーズ県文書館に所蔵されるこの大学会計簿と、ローマのドミニコ会中央文書館に所蔵されるドミニコ会総長書簡記録を利用する。 |