宇野 勝博
   所属   京都産業大学  理学部 数理科学科
   職種   客員教授
研究期間 1986~1986
研究課題 ガロワ拡大体の構造
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 一般研究(C)
研究機関 大阪大学
研究者・共同研究者 山本 芳彦,宇野 勝博,西口 健二,永尾 汎,川中 宣明,宮西 正宜
概要 1.有理数体上のガロワ拡大体でガロワ群が位数8の2面体群となるものに関する研究を主として種々の結果が得られた。 (1)虚2次体Aの上の4次アーベル拡大体Kで、有理数体上正規かつガロワ群が位数8の2面体群となるものを考え、拡大K/Aに付随する4種のヘッケL関数のs=oにおける値はクロネッカー・シュタルクの極限公式によりいくつかのジーゲル関数の特殊値達の対数の和として表わすことができる。保型関数論により、上の特殊値達が体Aの絶対類体の上で定義される楕円曲線の等分値のある定まった有理関数として表わされることを示した。 (2)虚数乗法論により、上の等分値達の間の合同関係がわかる。それを用いて、ジーゲル関数の特殊値達の間の合同関係式を得た。 (3)上の極限公式のexpを取ることにより、体Kの部分体達の類数と単数規準の間の合同関係式が得られた。 (4)特にAの類数が1のとき、Kに含まれる3つの2次体達の類数と基本単数に関して、法16の合同関係が得られた。これは山本が以前に予想したものと一致した。Aの類数が1より大の場合も山本の予想の証明に対する技術的困難な部分は解決済である。 2.上の成果のもとに、次の新たな研究の展開が期待される。 (1)類数が8で割切れる2次体に対応する位数16のガロワ拡大体を具体的に構成し、そこでのアルチンL関数の極限公式をアーベル多様体の等分値の対数の和として表わすこと (2)実2次体の極限公式を代数的に取扱うことの手がかりをみつける。
PermalinkURL https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-61540035