東 雄大 所属 京都産業大学 経済学部 経済学科 職種 助教 |
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研究期間 | 2018/04~2020/03 |
研究課題 | 地域を越えた職探しとジョブ・マッチングに関する研究 |
実施形態 | 科学研究費補助金 |
研究委託元等の名称 | 日本学術振興会 |
研究種目名 | 特別研究員奨励費 |
研究機関 | 神戸大学 |
科研費研究課題番号 | 18J11560 |
研究者・共同研究者 | 東 雄大 |
概要 | 本研究課題の目的は、求職者が地域を越えた職探しを行うことにより、地域労働市場はどのような影響を受けるのかを明らかにすることである。第1年目の研究成果は、以下の2つである。 第1に、ある地域における求人・求職のマッチングが、当該地域に加え近隣地域の求人や求職から受ける空間的スピルオーバー効果(ある地域から他の地域への波及効果)について分析した。日本の職業安定業務統計を用いた分析の結果、マッチングに対する空間的スピルオーバー効果が観測された。地域を越えた職探しが存在するために、ある地域の求職者にとって、周辺地域の求職者数が増えると職を見つけることが難しく、周辺地域の求人数が増えると職を見つけることが容易になることを示した。また、2011年3月の東日本大震災が被災地とその周辺において、空間的スピルオーバーとして観測される地域を越えた職探しの規模を増幅させたことが明らかになった。以上のような結果は、地域労働政策を行う際、空間的スピルオーバー効果の存在によって政策がうまく働かない、あるいは期待以上の成果をもたらす可能性があるという地域雇用政策に関する含意を導く。本研究成果は、査読付き学術雑誌であるJournal of the Japanese and International Economiesに掲載された。 第2に、地域固有の外生ショックが地域労働市場における求人・求職のマッチングの効率性を変化させるのかを分析した。本研究では、東日本大震災を外生ショックとみなし分析した。日本の職業安定業務統計を用いて分析した結果、被災した地域のマッチング効率性は災害後に一時的に悪化することを示した。この結果が示唆することは、主に直接被災した地域において求職者が職探しの困難に直面し、一時的に高いサーチの摩擦が生じたことである。本研究成果は、神戸大学大学院経済学研究科のワーキングペーパーとして発表した。 |