エンドウ トシヤ   ENDO TOSHIYA
  遠藤 斗志也
   所属   京都産業大学  生命科学部 先端生命科学科
   職種   客員教授
研究期間 2020/11/19~2025/03/31
研究課題 細胞内タンパク質の多重局在とその制御機構の解明
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 学術変革領域研究(A)
研究機関 京都産業大学
研究者・共同研究者 遠藤 斗志也,松本 俊介
概要 われわれは,タンパク質の配送にはやり直し(校正)機構が存在すること,すなわちミトコンドリア外膜のAAA-ATPアーゼのMsp1が,ミトコンドリア外膜に誤配送された膜タンパク質を検出して引き抜き,ER膜に送り込んで分解するか配送をやり直すかが決まることを見出した。本研究では,Msp1による配送校正の基質の範囲は何か,他のオルガネラでも校正が起こるのかどうか,オルガネラ間での基質タンパク質の移動にオルガネラ間コンタクト部位やシャペロンなどの因子は関与するか,という問いに答えることで,校正の全体像を明らかにすることをめざしている。さらに,他の細胞内局在の校正因子や他に多重局在例の検索,解析への展開も視野にいれている。 これまでに,Msp1によってミトコンドリア外膜から引き抜かれた誤配送テイルアンカー(TA)タンパク質がERに移動することを,蛍光顕微鏡によるタイムラプス観察で検証することに成功した。さらに,Msp1によって引き抜かれたPex15Δ30などの誤配送TAタンパク質が,Msp1以外のどのような因子に依存してERに移行するかを検討した。その結果,Msp1によって引き抜かれたPex15Δ30のミトコンドリアからERヘの移行は,サイトゾルのシャペロンGet3とそのER上の受容体Get1/2(合わせてGETシステムと呼ぶ)に依存することが明らかになった。しかしMsp1を過剰発現すると,GETシステムが欠損してもPex15Δ30はERに移行したので,効率は低いながら,GETシステムに依存しないでミトコンドリアからERに移行する経路があることがわかる。この経路がミトコンドリア-ERコンタクトを介するのか,は興味深い問題であるが,今後の検討課題である。
PermalinkURL https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PLANNED-20H05929