オダ ヒデノリ
ODA HIDENORI
小田 秀典 所属 京都産業大学 経済学部 経済学科 職種 教授 |
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研究期間 | 1998~1999 |
研究課題 | ゲーム理論の論理化とその計算機実験 |
実施形態 | 科学研究費補助金 |
研究委託元等の名称 | 日本学術振興会 |
研究種目名 | 萌芽的研究 |
研究機関 | 京都産業大学 |
科研費研究課題番号 | 10874024 |
研究者・共同研究者 | 八杉 満利子,小田 秀典 |
概要 | 経済学における動学的研究では、人がある法則をもつ体系内で行動するものとして扱う。しかし人は、体系から脱出して体系自体の観察結果を新しい知識として取り込むことができる。そのような状況の理論的考察のためにいわゆる帽子の色当てパズルを題材にして、次のことを考察した。(1)このパズルを記述できる理論的な言語の設定。(2)ゲームの仮定(プレーヤの初期知識集合)の設定。(3)「わからない」を表現する論理式の候補。(4)知識集合の拡張の妥当化。(5)推論の正当性の保証。(6)「分からない」と言いきれる理由。(7)誰でも正しい推論ができる理由。これら概念的な事象を数理論理学の研究対象にすることが、本研究の目的であった。とくに(6)と(7)が特徴的である。まず命題論理に知識作用素K(「事象Pを知っている」をK(P)と表す)を加え、古典命題論理にKに関するただ一つの推論(K->K) (任意の論理式F,G,Hについて"F and K(G) implies H"から"K(F)and K(G) implies K(H)"を導く)を加えた体系KLを設定した。KLにおいてカット除去定理が証明でき、その系として、ある条件下での知識作用素の除去、知識集合の分離、知識内部の三段論法、K(F)とFの体系内部での非同値性および外部での同値性、などがしたがう。これらの応用として、証明論的な手法により、上記課題の(1)-(6)を解決した。(7)のための自動証明プログラムも作成した。成果は、日本数学会、日本経済学会、台湾における7th Asian Logic Conference、神戸大学経営・経済学会、International Workshop on Emergent Worshopなどで講演した。現在Artificial Intelligence等に論文を投稿中である。さらに、本研究の背景である人間を要素とする複雑系および計算可能性の研究、本研究の目的に使用可能な論理体系NDKや構成的算術の証明論などの研究も進んだ。体系からの脱出に関する成果を京都産業大学経済経営学会Discussion Paper Series,No29に"Jumping ouf from the System: its expression and implication"として発表した。 |