新山 雅之
   所属   京都産業大学  理学部 物理科学科
   職種   教授
研究期間 2021/04/01~2024/03/31
研究課題 高輝度ガンマ線を用いた原子核中のρ中間子の質量変化の研究
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 基盤研究(B)
研究機関 京都産業大学
研究者・共同研究者 新山 雅之
概要 我々の体重など物質の質量は99%が原子核の質量です。原子核を作る核子はクォークでできていますが、クォークの質量を足しても核子の質量は説明できず、核子の質量は強い相互作用が引き起こすクォーク凝縮によって生じていると考えられています。原子核中ではクォーク凝縮が変化し、クォークと反クォークでできた中間子の質量も変化すると予想されていますが、過去の実験データに不一致があるなど確証が得られていません。本研究では、先ずは過去の測定の問題点を解決する測定手法を確立することを目指しています。 これまでの研究ではρ中間子の質量が原子核 中での質量変化を報告した実験と変化がないとする実験が存在し、混沌とした状況にあります。質量変化がないとする実験ではρ中間子が原子核内で崩壊したのか、原子核外で崩壊したのかを区別していないことが問題点です。 ρ中間子が原子核中で生成され崩壊した ことを同定した上で、ρ中間子の不変質量分布を測定する事が重要です。この手法を確立するためには、中間子が生成された際に反跳される陽子を前方の高抵抗板検出器で検出し原子核内でρ中間子が生成されたことを確認すること、背景事象を可能な限り抑え、ρ中間子の崩壊で生じる電子・陽電子対の不変質量分布からρ中間子の質量変化を探ることが必要です。 2021年度は、兵庫県スプリングエイトのガンマ線ビームラインで稼働中のソレノイドスペクトロメーターでこの研究のための検出器開発を行いました。前方の高抵抗板検出器の増強と電子・陽電子識別用の電磁カロリメーターの読み出し回路の準備を行いました。検出器の較正を今後行ってゆきます。これによって、より広い範囲で反跳陽子を捉えることができるようになり、電子・陽電子の識別能力が向上します。
PermalinkURL https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21H01115