オダ ヒデノリ
ODA HIDENORI
小田 秀典 所属 京都産業大学 経済学部 経済学科 職種 教授 |
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研究期間 | 2002~2003 |
研究課題 | 社会ゲームの学融合的展開-華巌ゲームの応用研究- |
実施形態 | 科学研究費補助金 |
研究委託元等の名称 | 日本学術振興会 |
研究種目名 | 基盤研究(C) |
研究機関 | 中央大学 |
科研費研究課題番号 | 14580486 |
研究者・共同研究者 | 有賀 裕二,小田 宗兵衛,生天目 章,青木 統夫,小山 友介,秋山 英三 |
概要 | 本研究計画では華厳ゲームの応用とネットワーク型シミュレーションの開発を二大目標とした。さらに、突然変異の発生およびその影響を解析することも期待した。潜伏的利得構造を組み込んで未知のエージェントを扱うことはできなかったが、以下のようにして、おおむね目標を履行した。2人華厳ゲームとの比較で様々なディレンマを伴う2人ゲームを取り上げ社会行動の進化を分析する。華厳ゲームは古典的なゲーム論の意味でどんなプレイも最適反応である。本研究では、繰り返し2人ゲームにおいて様々なディレンマ、プレイヤーの相互作用の形態、シグナル交換、記憶・計算の様式、ミスをすることの影響の研究してみた。Nowak(1993)型の進化ゲーム動学方程式を利用する。これによって、進化、変異、アクションノイズの影響をセットで解析できる。とくに、プレイヤーが記憶を持っていない(m=0)、相手の前回の行動についてだけ記憶を持っている(m=1)、相手の前回の行動と自分の前回の行動について記憶を持っている(m=2)の三ケースを分析する。通常、(1)自分だけが損する状況は拒否する、(2)両者がディレンマに陥る場合は協調行動を選択する、(3)協調関係にあるときは協調行動を継続する、ような戦略はPAVROV戦略と呼ばれる。秋山(2003)は、m=2で、華厳ゲームで最強の戦略は、PAVROVであることを示した。囚人のディレンマではPAVROVは進化的安定戦略ではない。また、華厳ゲームの脈絡では、(1)の行動は、相手の行動を道徳的に促すという積極的な意味がある。華厳ゲームのPAVROVをとくにPunishment within Compassion(PwithC)と呼ぶ。華厳ゲームとは異なるが、利他的な懲罰の有効性はBoyd et al.(2003)からも引き出される。この点で、華厳ゲームは近年の利他主義研究に貢献することができた。 その他、内山・生天目・有賀(2003、内山は協力研究者)は、複占モデルを拡張したn次の非対称的寡占市場モデルでネットワーク型シミュレーションの開発に成功して、成功者の情報を与えた場合、エージェントの適応的行動は模倣行動である、最適戦略行動をとらないことを示した。一方、小山はU-mart研究会製作の人工知能市場U-martの開発をつうじて、マルチエージェントパラダイム上で市場モデルの有効性の比較検討に成功した。秋山の研究は2003年8月合衆国ボストン開催のSCTPLS年次大会、また内山・生天目・有賀の研究は2003年7月イタリア・ウルビーノ開催のXV-IMGTA(Italian Meeting on Game Theory and Applications)に発表された。最後に、平成14年度予算で実施した国際会議CS02の研究成果はすでに大会proceedingsとして印刷したが、そのなかから選定された論文は、ジャーナルAdvances in Complex Systems特集号Agent-Based Approaches in Complex Systemsとして、World Sceintificより出版された。 |