シオヅ ユリカ
  塩津 ゆりか
   所属   京都産業大学  経済学部 経済学科
   職種   教授
研究期間 2021/04~2024/03
研究課題 非金銭的インセンティブによる地域課題解決のためのシステムデザインの検証
実施形態 科学研究費補助金
研究委託元等の名称 日本学術振興会
研究種目名 基盤研究(C)
研究機関 京都産業大学
代表分担区分 研究代表者
研究者・共同研究者 塩津 ゆりか 下原勝憲 荒井壮一
概要 本研究はゲームへの参加継続手段としての「寄付」に着目し、住民の日常行動をポイント化し、ポイントが価値交換機能を持たなくても地域課題の解決に有用なゲーミフィケーションデザインとなるかを検証することを目的としている。 先行研究から被験者のタイプによって期待行動をとるメカニズムが異なることが明らかとなっているため、2021年度前半に被験者のSense of Coherenceを調査した。調査結果から被験者全体では全国平均よりも問題解決が可能と考え、解決困難であっても後悔しないタイプが多く、各地域において、とりわけ積極的な人物の存在が明らかとなった。 次に2021年後半に京都府宇治市と秋田県能代市で既開発の独自アプリを使ってフィールド実験を実施した。第1の仮説として、経済的価値がないポイントであっても、非匿名で個人間のつながりを可視化することで互酬性動機が働き、コミュニケーションを活性化できるかについて、社会ネットワーク分析を用いて検討した。分析の結果、実験開始からの時間経過に伴い、互酬性動機によるポイント贈与は減少してしまうこと、ポイントの価値づけを参加者に委ねてしまうとポイント獲得や保有の効用が不明確となり、ポイント贈与機能は利用されなくなることが明らかになった。このため、ポイントになんらかの経済的な価値を付与し、交換レートを明示するか、ポイントに経済的な価値を付与しないのであれば、ポイントから得られる非経済的な価値を定義して参加者が効用を得られるようにした上で、ポイント贈与システムを匿名化かつ簡便にし、フィードバックが得られるようにすることが必要と考えられる。ただし、Sense of Coherence調査の結果から、地域活動の参加者にもさまざまタイプがいることが明らかにであるため、非経済的な価値を提示する際には、多様性の考慮が必要と考えられる。
PermalinkURL https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K12554